新卒でPinterestに入った27歳エンジニアが語るユニコーン企業のすヽめ
本日のゲストは、世界のユニコーン企業(企業価値1000億円以上) トップ10に君臨する「Pinterest」で Senior Software Engineer, Tech Lead をされている成田康一郎さんです。
世界観が大きく変わったというペンシルベニア大学への交換留学の話、運命的とも言えるPinterestとの縁、そしてPinterestとAirbnbの意外な仲など、エンジニアだけでなくアメリカ留学を志す学生にも楽しんでもらえるトピックが満載です!

成田 康一郎 (Koichiro Narita):
国際基督教大学 (ICU) で経営と情報工学をダブルメジャー。ICU在学中にペンシルベニア大学に交換留学し、現地学生の本気度に衝撃を受ける。ICU卒業後、カーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得。現在はPinterestのグロースチームで Senior Software Engineer, Tech Lead を務める。
グロースチームで何でも屋として働く

編集部:今はどんなことをされているんですか?
成田さん:新卒でPinterestに入って、ずっとグロースチームにいます。グロースチームは「エンジニア視点でユーザーを呼び込んで、彼らに長く使ってもらうように工夫するチーム」で、僕はその中でもEmailやアプリ内通知を管理するNotificationチームで仕事してます。

オフィスには成功したプロジェクトが記されたバッジがあり、成田さんのサインも発見!
編集部:それってイメージとしてはマーケティングみたいな気もするんですが、そこはあくまでエンジニアとして彼らのお手伝いをするという感じですか?
成田さん:そうですね。ただ、チーム自体がフルスタックなので、UIをどうするかというフロントエンドからデータをどうサーブするかというバックエンドの仕事まで幅広くやってます。あとはユーザーの興味・関心に応じて情報を提示するレコメンデーションシステムを作ったりもしますね!
なので、例えばマーケティングチームから「こういう通知システムが欲しい」という要望が来たら、そのためのプラットフォームやウェブのUIを作って、「こうすればユーザーに通知が行きますよ」みたいなモデルを作ったりもします。
編集部:じゃあ、チーム自体はほぼエンジニアなんですね。
成田さん:そうです。エンジニアが9人ぐらいで、PMとマネージャーがそれぞれ1人、あとはデザイナーが2人います。
編集部:やはりPinterestだとUI/UXをどうするかという話もあるからデザイナーと一緒に仕事をしていくわけですね。成田さん自身は結構コードを書くんですか?
成田さん:仕事はほぼコーディングです。ただ、チームがフルスタックなのでどこでもやります。究極のフロントエンドまでいくと、EmailのHTMLをいじったりもしますよ(笑)
編集部:そんなところまで(笑) 通知の場合、相手が興味があるとは言ってないけど、潜在的に興味があるかもしれない場合があるじゃないですか。そういう場合はどうするんですか?
成田さん:例えば、バスケが好きな人は野球も好きだろうと踏んでまずレコメンドしてみます。その反応を見て、もしダメそうなら違う手を打って、もし反応が良ければ「あっ、やっぱ好きじゃん」みたいな感じですね(笑)
編集部:じゃあ、とりあえずレコメンドしてみて、その反応が良ければ似たような趣味を持つユーザー達にもレコメンドしていくと。
成田さん:そうです!時間も同じで、朝10時に送ってみて反応が悪ければ、午後6時にしてみようとか。その辺りはマシンラーニングのモデルがあって、ユーザーのデータをもとに機械が学習してます。

Pinterestは興味ある (interest) 画像を自分のボードにピン (pin) して情報収集できるサービス
急成長するPinterest
編集部:どこかの記事に、「人気コンテンツは服・デザイン・レシピ」って書いていたんですが、実際に中で働く成田さんから見て、どういった使われ方をしている印象がありますか?
成田さん:僕らはそれをバーティカルって呼んでるんですけど、今仰られたものに加えて、旅行先に何があるかを探すみたいな使い方もされてますね。
編集部:たしか2017年の9月には月間利用者数が2億人を突破したんでしたっけ?
Pinterest月間利用者数が2億人突破 | Pinterest Newsroom
成田さん:結構古い会社で、もう創業7年なんですが、徐々に徐々に成長してますね。実はユーザーとともに社員の数も増えてて、僕が入社した2015年頃は社員が300-400人だったんですが、今はもう1500人くらいいます。
編集部:すごい勢いで成長してますね!
成田さん:なので、一つの建物だと人が収まらないので、今はBrannan通り沿いに4つぐらいオフィスがあります(笑)

オフィスにはバーが付いており、ビールが飲み放題
編集部:4つもあるんですか(笑) そういえば、数年前に日本オフィスも立ち上がってましたが、何か繋がりはあるんですか?
成田さん:僕は直接関わりを持ってないんですが、やっぱり日本語が喋れるということで日本語の翻訳とかバグに関する細かい仕事が振ってくることはありますよ。「この翻訳おかしいんだけど直して!」みたいな(笑)
編集部:ちなみに、サンフランシスコのPinterest本社ってどれくらい日本人がいるんですか?
成田さん:4人ですね。エンジニアは僕だけで、あとはデザイナーに1人、インターナショナルチームに2人です。日本人が少ないのでみんなで「こういうこと出来たらいいね」とかは話したりします。
編集部:日本人同士の交流はあるんですね!交流というところで言うと、社内で勉強会などもあるんですか?
成田さん:結構やってますよ。チーム内でも色々やっていて、最近だとジョシュ・エルマン*というLinkedInとかTwitterのグロースを担当した方に話をしていただきました。
*エルマン氏は、Facebook, Twitter, LinkedInなど錚々たる企業のグロースハックを担当した、グロースハックの第一人者。
PinterestとAirbnbの意外な仲
編集部:CEOのベン・シルバーマンとは話したりするんですか?

成田さん:たまに話します。夜作業してたら話しかけてきたりとか、あとランチしてたら隣に座ってきたりとか。バックグラウンドがたしかグーグルのビジネス系で、頭が本当に良いです。
編集部:企業が大きくなっても社長との距離感が変わらないというのは、Pinterestの風通しの良さですね。
成田さん:普段は社交的というより落ち着いていて、いつも冷静な判断をしている印象なんですが、全社ミーティングとかでステージの上に立つと超インスピレーショナルな人に変わるのですごいです!
編集部:なんだか不思議な方ですね。ちなみに、ユニコーン企業が密集するこのエリアだと他のスタートアップとの交流もあるんですか?
成田さん:ありますよ。僕のルームメイトが今Airbnbで働いてるんですが、Airbnbの食堂でなんか見覚えのある人いるなって思ったら、Airbnb CEOのブライアン・チェスキーとうちの社長が普通のテーブルでランチしてたらしいです!やはり、投資家を通じて色んな人と繋がりがあるみたいです。

編集部:その環境はやばいですね(笑) まさにシリコンバレーのエコシステムの強みだと思います。
ICUで経営と情報工学を専攻
編集部:たしか、ICU (国際基督教大学) で経営と情報工学をダブルメジャーされてますよね?
成田さん:そうです。もともと数学が大好きで、数学に関係した分野を専攻したいなと思ってたんですが、ICUって2年生まで専攻を決めなくていいので物理とか経済の授業も取ってたんです。
それで、たまたま情報のクラス取ったら、「あっ、おもしろい!」ってなってそれで情報に決めました。ただ、ICUって情報やってる人が学年に5人ぐらいしかいなくて…(笑)
編集部:そもそもICUに情報学科があるってことに驚きです(笑)
成田さん:仰る通りほとんどの人が文系で文系キャンパスにいるので、理系キャンパスって本当に寂しいんですよ。人もいないし、いても研究してるし。。。なので、友達もほとんど文系だったから、「文系メジャーの専攻も取るか」って感じで経営を取りました(笑)
編集部:それでダブルメジャーしたんですか?(笑)
成田さん:あとは情報と経営が合わさると面白いかなって。僕が大学に行ってる間にも面白いサービスが色々と立ち上がっていたので。だから、情報がメインで経営はサブというか友達作りみたいな感じですね(笑)
編集部:じゃあ、友達に会いに行くついでに授業を受けるみたいな感じだったわけですね(笑)
世界観が変わったペンシルベニア大学
編集部:学部の時にペンシルベニア大学に留学してますよね。それは情報を勉強しに行ったんですか?
成田さん:情報と経営です。3年生の時だったんですが、かなり刺激を受けました。
編集部:ペンシルベニア大学というとMBAのウォートン校が有名な気がするんですが、コンピュータサイエンスも人気なんですか?

投資効果の高い米国ビジネススクール、1位はウォートン校 | Forbes JAPAN
成田さん:めちゃくちゃ人気ですよ!たしかにペンシルベニア大学というとウォートンが一番目立つ学科ですけど、アメリカの大学だとどこでもコンピュータサイエンスが人気なので。2011年当時も、生物とか物理をやってた人がやっぱりコンピュータサイエンスをやろうみたいな風潮は結構ありました。あと、経営とコンピュータサイエンスを両方やるっていう鬼のプログラムをやってる人が数十人いて…(笑)
編集部:完全にストイックな人達ですね(笑)
成田さん:コンピュータサイエンスだけでも勉強量がえぐいのに、ウォートンの授業まで取ってて。しかも本当に頭良くて「こいつらやべーな」って感じで相当刺激を受けました(笑)
編集部:日本だとダブルメジャーしてる人ってすごく珍しいけど、アメリカだと結構いますよね?
成田さん:たしかに、結構自由に取ってる人が多いかな。やっぱり大学に入ってから専攻を決めるところが多いので、色々と授業を取ってみて、何か自分のビジョンが見えた時にそれに向けていくつか専攻するという人は多いと思います。
編集部:特にアメリカだと就職の時に学部の専攻がダイレクトにヒットするから、目的意識をしっかり持って専攻を選んでるイメージはあります。逆に、そういう人たちに囲まれて勉強する中で苦労したことなどはありますか?
成田さん:交換留学ということもあって、初めはゲスト気分というか軽い気持ちで留学したんですよ。でも、実際に授業受けてみたらめちゃくちゃ大変で…本気度が違うなって。アメリカだと成績が良いと良い会社に行けるので、みんなガチで課題とかバリバリやってるし、プロジェクトの課題量も半端なかったので、僕も必死に食らいついてました。
編集部:たしかにこっちだと成績が良いと色んなところでインターンができて、内定もそのインターンを通してもらうパターンが多いですもんね。
成田さん:あと、ICUだとエンジニアとして働いている人が周りに少なかったんですが、ペンシルベニア大学だと、周りの人たちがGoogleとかFacebookで普通にインターンしてて、しかもそのまま就職するみたいな話もよく聞いてたので、交換留学で身近にそういう人たちがいたというのは相当刺激的でしたね。
やはり過酷なカーネギーメロン大学
編集部:じゃあ、そういう刺激的な出会いもあって大学院はアメリカにしたわけですね。
成田さん:そうですね。たしか大学2年生の時にすでにアメリカの大学院も視野には入れていたんですが、実際にどうするかは交換留学をしてから決めようと思ってました。
編集部:最終的にはカーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスの修士号 (マスター) を取られていますが、以前取材した未來くんからカーネギーメロン大学のコンピュータサイエンスはスーパー過酷でずっとブートキャンプみたいな学校だとお伺いしました(笑)
成田さん:僕は2年間だったんですが、あれを4年間は半端ないと思います(笑) 特にICUからカーネギーに移ったので、物理的にも全然環境が違って大変でしたね。冬は-20度とかになるので、息するだけで痛いみたいな(笑)
編集部:やっぱり過酷ですね(笑) ちなみに、入る前から過酷っていうのは知ってたんですか?
成田さん:いや、全然知らなかったです(笑) なんか学期が始まる前に近所のスタバに行ったんですけど、工学部の横でもないのにみんなコーディングしてて画面が黒いっていう…それで「ここガチなんだな」って思ったのを覚えてます。
編集部:異様な空間だったんですね(笑) 当時はどんな生活だったんですか?
成田さん:とりあえず課題の量がやばくて、まず休めなかったです(笑) なので、みんなで協力して徹夜で課題を終わらせて寝るみたいな(笑) 日曜から木曜までずっとそれで、金曜休んで、土曜の夜からまたスタートみたいな感じでした(笑)
編集部:えげつないですね(笑)
成田さん:けど、振り返ってみると相当学びましたよ!ICUで学んだ何十倍もその2年間で学んだ気がするので、行ってよかったと思います。
グリーンカードの性別が「F」だった?
編集部:そしてカーネギーを卒業後はOPT*を使ってPinterestで働き始めたと。
*OPT (Optional Practical Training) とは、学生ビザで就学している学生が専攻分野と関連ある職種で就労できる制度。
成田さん:そうです。最初はOPTで、そこからH-1Bビザ (就労ビザ) に移って、今はグリーンカードです。
編集部:早いですね!
成田さん:日本人だと早いと思います。そもそもアメリカのマスターを持ってるとH-1Bビザの抽選で2回チャンスがあるので、最初の年にH-1Bビザを取って、その後すぐにグリーンカードを申請して、1年半ぐらいで取れました。
編集部:ちょっと僕もマスター始めようかな(笑)
成田さん:ただ実を言うと、本当は卒業が2015年の5月だったんですけど、Pinterestに就職を3月からに早めてもらって、それで最初は学部生としてH-1Bビザに応募したんです。そしたら運良く一発で通って(笑) それでグリーンカードにはマスター枠で応募したという感じです。
編集部:なるほど。じゃあ運も良かったし、Pinterestもかなり手厚く支援してくれたわけですね。
成田さん:そうですね。けど、グリーンカードもらって喜んでたらジェンダーのところに「F」って書いてあって…(笑)
編集部:まさかの?(笑)
成田さん:「F (Female) 」ってなんの略かなって5分ぐらい考えて、どう考えても違うなと思って、再発行お願いしたらそこから1年ぐらい待たされました(笑)
編集部:出た、移民局仕事遅い問題!(笑)
成田さん:そしてこの前やっと手元に届きました(笑) なので、そういったトラブルは有りましたが、グリーンカード自体は結構スムーズに取れましたね。
編集部:まさにマスターの強みですね。
Pinterestへの就職は運命的だった?
編集部:カーネギーのコンピュータサイエンスだと就活でも引く手あまただったと思うんですが、そこでPinterestを選んだ理由をお聞きしてもいいですか?
成田さん:もともとはPinterestがカーネギーメロンに採用に来てて、インタビューもワンクリックで応募できたので、インタビューの練習に良いかなくらいの気持ちで応募したんです。そしたら「本社に最終面接に来て下さい」っていう連絡が来て…(笑)
編集部:まさかの(笑)
成田さん:でも、そのPinterest本社に向かう日っていうのが、実はFacebookから選考結果が来る日だったので、もしFacebookから内定が出たら飛行機に乗るのやめようかなって思ってました。でも結局搭乗までに連絡が来なかったので、飛行機に乗ったんです。そしたらサンフランシスコに着いたタイミングで電話が来て、、、結局受かってたんですけど、ここまで来たらPinterestも行こうと思って(笑)
編集部:せっかくサンフランシスコに来たしみたいな(笑)
成田さん:そんな感じでインタビューに行ったら、そのインタビューしてくれた社員の人たちがめちゃくちゃ良くて、「こういう人たちと一緒に働けるならPinterestも良いかも」と思って、インタビューが終わって会社から出る頃には「Pinterestに行こう!」ってなってましたね(笑)

編集部:スタートアップ採用のお手本ですね。「とりあえず、話だけでも聞きにおいでよ」って言ってそこで心を鷲掴みにするっていう(笑)
成田さん:だから、結構運命的というかFacebookからの電話がちょっとずれてたら人生変わってたと思います(笑)
編集部:その社員さんたちはどんな方だったんですか?
成田さん:社員がほとんど元FacebookかGoogleの人で、僕のインタビュアーも「FacebookのLikeボタン作りました」とか「Facebookのリサーチのトップやってました」とか「Y Combinatorを卒業しました」みたいな人たちばかりでした。なので、すごく刺激的で学びのある環境なのかなと思ったんです。
編集部:とんでもない人たちですね(笑) でも、そういう人たちの近くで働けるのはユニコーン企業の魅力でもありますよね!
今後のキャリア観 / メッセージ
編集部:今後のキャリアについてはどう考えてますか?
成田さん:僕はもともとプロダクト作りが好きで、会社に帰属するというよりは自分の能力を高めたいというスタンスなので、自分が成長できる環境にどんどん身を置いていきたいなと思います。実は転職も考えたことはあるんですが、やっぱり今はPinterestでやっていきたいですね。
編集部:もともと経営も学んでいて、プロダクトマネージャー (PM) には興味ないんですか?
成田さん:僕はエンジニアで残りたいです。大学の時に色んなインターンをやって、やっぱり自分はコーディングが好きなんだなって認識したんです。PMだとエンジニア以外の人と関わる時間も多くて、そういうのは得意じゃないし自分には向いてないと思うので。
編集部:たしかにPMってそんな感じがします。では、そんなエンジニアとして活躍されている成田さんから、アメリカで挑戦したいと思っている方に何かメッセージをもらえませんか?
成田さん:こっちで働く日本人って色んな形で来ていて、日本から直接来たバケモノみたいな人もいれば、日本の外資系企業に入ってそこからアメリカに移ってきた人、あとは僕みたいに大学院を使って来た人もいるんです。
でも、個人的な経験からいうと大学院を使うのがオススメですね。アメリカだと1年のマスターもあるし、卒業後ビザ的な問題もなくこっちで働けるので。
編集部:STEM系の大学院だと卒業後にOPTで3年間働けますもんね!
成田さん:そうですね。英語がダメで…と考えている人もいるかもしれませんが、こっちで働く外国人を見てると、英語は全然できないけどコーディングができるから働けてるっていう方もいるので、専門スキルさえあれば英語のことはそんなに考えすぎなくても良いんじゃないかと思います。
まとめ
本日は、世界のユニコーン企業トップ10に君臨する「Pinterest」でソフトウェアエンジニアをされている成田康一郎さんにインタビューしました。アメリカのトップスクールを出て、キャリア的にも順風満帆な成田さんですが、飾らず謙虚に受け答えする姿からは人としての優しさを感じ取りました!僕も成田さんのような驕らず謙虚な大人になれるよう日々精進します!

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