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【時代はAIロボットアーム!?】Osaroでロボットエンジニアをされている河本和宏さん (後編)

インタビューAIIT系エンジニアサンフランシスコスタートアップ外資系企業

産業用ロボット向けのAIソフトウェアを開発するサンフランシスコ発のスタートアップ「Osaro」にてRobotics Software Engineerをされている河本和宏さんへのインタビュー後編です。

▼後編の内容
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・アメリカに来た経緯
・Airbnbを使いこなすおばあちゃん
・ビザ問題でカナダに避難
・今後のビジョン / メッセージ
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<<< 前編はこちら <<<

アメリカ企業の面白さとは?

編集部:Arthur D. Little自体は当初やりたかったことにも合っていて、河本さん自身も良い環境だったとのことですが、そこを辞めてまでアメリカに来ようと思ったのはなぜですか?

河本さん:コンサルはすごく面白かったので続けても良いかなと思ってたんですが、世の中に対する自分なりの価値の出し方を考えた時に、パワーポイントの資料だけではなく、実際にプロダクトを作る側になりたいなと思ったんです。

編集部:自分で何かを創造したかったわけですね。

河本さん:ただ、元々いた会社ではなかなかそういうことができなかったので、何か少し飛んだステップが必要かなと。

編集部:そこでアメリカを選んだと?

河本さん:やっぱり新規事業を色々とやっていく中で、アメリカの企業はすごいなと常々感じていたんです。それはUberやAirbnbのようなスタートアップもそうなのですが、自分はそれ以上に大企業の変化の速さみたいなところに物凄く興味があって。例えば、Amazonに負けじと頑張るウォルマートとか、テスラに負けじと頑張るGMとか。

編集部:たしかに大企業にしてはかなりのスピード感ですよね。

河本さん:なので、そこにはどういう要因があって、彼らはどういう風にそれを実現しているのかということを体感しておきたいと思ってたんです。あと、スタートアップ・大企業問わず色んなものが生まれるシリコンバレーのエコシステムというものをインサイダーとして上手く日本に還元していきたいなと。それが今の執筆活動であったり、企業間を繋いだりというサイドワークにも繋がってるんです。

河本さんは「日経ビジネスONLINE」や「ビジネス+IT」などに記事を寄稿するなど、自ら執筆活動も行なっており、Newspicksのフォロワー数は2000人近くいる。

Airbnbを使いこなすおばあちゃん

編集部:なんかアメリカに来た時に70過ぎのおばあちゃんがAirbnbを使ってて驚いたんでしたっけ?(笑)

Airbnbは部屋を貸したい人/借りたい人をマッチングするサービス

河本さん:そうですね。2012年春の大学院卒業前です。当時サンフランシスコを訪れていたんですが、急遽マウンテンビューあたりの南の方に行くことになって、泊まるところがなくて困ってたんです。そしたら、どうやらAirbnbっていうものがあるらしいとわかって。

編集部:まだ日本でもそんなに有名じゃない時ですよね?

河本さん:そうですね。しかも結構ギリギリの予約で、当日の17時に予約して20時に到着みたいな。

編集部:まさかの当日(笑)

河本さん:行けるかなと思って予約してみたらめっちゃ返信が早くて、しかも行けるよって。それでその日の夜にその家の近くに着いたんですが、ちょっと道に迷っちゃって…そこで迷ってたら犬を連れたおばあちゃんが散歩してて、こんな夜遅くにおばあちゃんが歩いてるなーなんて思ってたら、その人が自分のホストだったっていう(笑)

編集部:まさかそんなおばあちゃんがホストだと思わないですよね(笑)

河本さん:まだベイエリアでもAirbnbを知らない人がいるような中で、そのおばあちゃんがこのリアルタイム性でサービスを使ってたのは衝撃的でしたね。この環境ってすごいなと。

編集部:たしかに日本だとまず考えられないですよね。やっぱりこのエリアの特殊性というか、全ての人の生活にテクノロジーが入り込んでる感じはします。全然違和感なく、UberとかAirbnbも使うし。

河本さん:もしかすると最終的にこの街だけ超ガラパゴスになるかもしれないですね。

編集部:逆に(笑)

河本さん:でもそれはそれで面白い環境だなと思ってます。あとスタートアップに関連して言うと、こっちだとスタートアップで働くこともリスクじゃないですよね。日本だと給料が下がるうえにストックオプションももらえないみたいなイメージがありますが…

ストックオプションとは、予め決められた価格で自社株を買う権利

編集部:あるある(笑)

河本さん:こっちだと、もちろん資金調達をしてたらですが、スタートアップでもGoogleとかに引けを取らないくらいの給料を払いますし、ストックオプションもちゃんとくれるので、全然選択肢に入るんですよね。

編集部:普通に頭の良い人達が合理的に考えてそこに至る感じですよね(笑) しかも本気で世界を変えなきゃみたいな感じで。

河本さん:日本もいずれはそういう風になると思うんですが、そうじゃないと本当の意味で人材の流動とかは始まらないですよね。

編集部:たしかに日本の優秀層の中でも、とりわけ物好きで先見性があるようなやつだけがリスクを取ってスタートアップに行ってる感じだから、そこは環境の変化が必要になると思いますね。未だに就活ランキングとかだと商社とか銀行が人気ですし。

TOP5に3大メガバンクと航空大手。知名度の高いBtoC企業が上位 –キャリタス就活2018

河本さん:ただ、自分の友達とかに話を聞くと「お金を儲けたいならGoogleに行った方が良い」とは言われます。でも、スタートアップでの仕事はチームが小さい分自分がやれることも大きいので、自分はお金以上にやりがいがあるなと思いますね。

編集部:そこで得られるスキルや経験は自分のバリューにもなりますもんね。

ビザ問題でカナダに避難!?

編集部:ビザ問題でかなり苦しんだとお伺いしたのですが…

河本さん:大変でした。はじめは直接転職することを模索していたのですが、やはり留学経験もグリーンカードもエンジニアとしてのフルタイムの就業経験も無しということで見つからず…かといってMBA留学やPhD留学にはあまり興味もなくて…

編集部:特にアメリカで就職となると、英語・ビザ・就業経験という三重苦ですもんね(笑)

河本さん:そんな時に、Y Combinator発の「Make School」というアプリ開発者養成スクールがProduct Collegeという新しい学校をスタートすることを知り、創業者の方と日本で会ったんですよ。

Make Schoolは実践的プログラミング教育を提供する
サンフランシスコ発のプログラミングスクール

その時に日本のビジネス展開も進めていきたいということだったので、そこで自分を売り込んで、アジア展開を支援する代わりにインターンとしてビザをサポートしてもらって、ついでに学校でスキルも学ばせてもらうことになったんです。

学費は出世払い、創業者と開発者に従来の大学に変わる教育を施す「Make School」の河本和宏さんに取材 –The Bridge

編集部:おお、すごい!その時は何ビザですか?

河本さん:J1ビザ (インターンビザ) ですね。それで、渡米8ヶ月ほどして自分の中で考えていたコンサルキャリアの延長としてのデザインコンサルと、ずっと追いかけてきたロボティクス・AIの道が見えてきたので改めて転職活動を行い、IDEOと自動運転関連のスタートアップからオファーをもらったんです。でも、ここで多くの日本人が苦労するビザ問題にぶつかったんですよね。。。

編集部:どういうことですか?

河本さん:当時、J1ビザからJ1ビザへの切り替えや更新が難しいというのを知らなくて、しかも5月から8月くらいのタイミングだったので、H-1Bビザ (一般的な就労ビザ) の申請時期 (4月) も完全に過ぎていて、唯一残ったのがO1ビザだったんです。。。

O1ビザは、科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で「卓越した能力を有する者」に発給されるビザ

編集部:まさかのO1のみ(笑)

河本さん:でも今までO1ビザを取ったこともない外国人の若造にビザサポートをするほど2社とも優しくなくて。。。一般的にO1ビザって取るのがすごく難しいと言われているので、そう簡単に取れるものじゃないんです。

編集部:ビザが通らないリスクと申請コストを考えると、企業としては妥当な判断ですよね。

河本さん:そこで「じゃあ自分で会社を作って、そこからO1ビザの申請をすれば良いんだ」ってなって、自分で会社を設立して、それを友達に譲渡して、その会社からO1ビザの申請を行ったんです。

編集部:行動力がすごい(笑)

河本さん:当初は、自分が本当にO1ビザを取れる能力があるのか確かめてみようくらいだったんですけど、色んな方に助けてもらって、幸いなことにそれで通ったんですよ!ところが、O1ビザを持って再度2社に声をかけたら、今度はそのプロセスに時間がかかりすぎたせいで両方からオファーを取り下げられてしまって(笑)

編集部:踏んだり蹴ったりですね(笑)

河本さん:しかも実はもう一難あって、これは完全に移民局側のミスなんですけど、O1申請時、自分はJ1ビザのステータスをキープしたままO1ビザの権利だけを保持するように書類を出してたんですが、システム上のエラーで勝手にJ1ビザからO1ビザに切り替わってしまっていて、いざ別の国からアメリカに帰ってきた時にパスポートコントロールで「君はO1ステータスのはずなのに、なぜO1のスタンプがないの?」ってなって…

編集部:やばいやばい(笑)

河本さん:それで別室に連れて行かれて、そこで事情を説明したら「しょうがない、じゃあ君に1ヶ月だけ猶予をあげるから、それでなんとかしなさい」みたいな感じで1ヶ月だけ猶予をもらって、一応入国はできたんですが、移民局の仕事が遅すぎて1ヶ月では処理が終わらなかったんです(笑)

編集部:出た!移民局仕事遅い問題(笑)

河本さん:そのままアメリカに不法滞在してたら将来のリスクになるので、書類の処理が済んだら連絡して下さいって言い残して、一旦バンクーバーに避難したんです。でもいつまで経っても連絡が来なくて、もしかしたら本気で忘れてるんじゃないかと思って、再度連絡してみたらホントに忘れてたらしく、処理自体は自分が出た2日後くらいに終わってたらしいです(笑) それでなんとか事なきを得たって感じですね。

編集部:かなり波乱万丈ですね(笑)

やっぱり「AI × ロボット」が面白い

編集部:それで無事にO1ビザを取得して、Osaroに就職したわけですね。ちなみに、Osaroはどうやって見つけたんですか?

河本さん:アメリカに来てからはロボットとAIがすごく面白いと思っていて、友達のスタートアップを一緒にやったりとか、あとはAIのセキュリティ会社でリサーチフェローをしたりとかしてたんです。なので、就活でもロボティクスとAIに関連した会社を探していて、色々とアプライした中でも1番しっくり来たのがOsaroだったというわけです。

サンフランシスコ近辺では「AI × ロボット」関連のイベントも多い

編集部:決め手は何だったんですか?やはり創業者のバックグラウンドや今後の伸びしろですか?

河本さん:産業用ロボットとAIっていう狙いが渋いなと思って(笑) 元々技術のバックグラウンドがしっかりしてるメンバーが確実にニーズのある商売をしようとしていて、かつそれが自分が大学でやっていたこと。あとは、こっちに来てから自分がやっていたこととかなり親和性が高かったので、活躍できそうだなと思ったのもあります。

編集部:なるほど、狙ってるマーケットと自分の出せるバリューを考えるとそこが一番良いんじゃないかと。

今後のビジョン/メッセージ

編集部:今はOsaroで働いていて、今後のキャリア観やビジョンみたいなものはありますか?

河本さん:方向性としてはあまり変わらないですね。大学時代からやっていたメカとかロボティクスの専門性がアメリカに来てより深まったので、今後もこの領域を深めて、新しい技術をビジネスとして立ち上げていきたいなと思います。もちろん、機会があれば自分で何かやるかもしれないですが、今はこの会社を成功させることが一番の近道なのかなと思ってます。

編集部:その成功過程で学ぶことも多いですもんね。それでは、最後に何かに挑戦したいと思っている方にメッセージを頂けませんか?

河本さん:迷うことって当たり前だと思うんですよ。特にどこかの組織で働いている以上、自分の幸せって、どれくらい自分のやりたいことと会社の方向性や与えられた仕事がマッチするかによるわけなので。なので、それって自分の方向性が変わったり、会社の方向性やサイズ感が変わった時に必ず発生すると思うんです。ただ、その変化を感じ取ったのであれば、何か踏み出すことが大事なんじゃないかと思いますね。今まではその乖離をなんとか我慢して働くみたいな感じでしたが、たぶん今後はその働き方自体も変わってくると思うので。

編集部:たしかに最近だと働き方も見直されてきてますもんね。

河本さん:そうなった時に自分自身の方向性を強く持つこともそうですが、強いスキルを持つこともすごく重要になると思うので、まずは自分の方向性を明確にした上で、そこに何を積み重ねていけるのかを考えるのが良いのではないかと思います。

編集部:間違いないですね。

河本さん:あとは環境も大事かなと思います。自分がアメリカに来て良かったのは、こっちだと周りに合わせないといけないというプレッシャーがすごく少ないというか、好きなことをやるのが良いことだという風潮があるので、みんな自分が本当にやりたいことを追求しているんです。なので、もし現状に違和感を感じるのであれば、環境を変えてからやってみるのも良いかもしれないですね。

編集部:たしかに環境は大事ですね。河本さん、本日はありがとうございました!

まとめ

本日は、産業用ロボット向けのAIソフトウェアを開発する「Osaro」にてRobotics Software Engineerをされている河本和宏さんにインタビューしました。英語・ビザ・就活という三重苦を乗り越えて現在の会社にたどり着いたという波乱万丈なエピソードからは、諦めなければ道は開けるという言葉を垣間見たように思います。僕も河本さんのように波乱万丈な人生を楽しんでいきたいと思います!

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