Microsoft本社でクラウドサービスAzureのマーケティングを担当する石坂誠さん
インタビュー8本目はシアトル出張編ということで、ワシントン州レドモンドにある米国Microsoft本社でクラウドサービス『Azure』のグローバルマーケティングを担当する石坂誠さんにインタビューです。
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2:40のMicrosoftとの出会いは必見です(笑)
石坂 誠 (Makoto Ishizaka):
2002年、早稲田大学法学部卒業。新卒でNECに就職し、化学業界向け法人営業を担当。2007年、米国ユタ州にあるBYUにてMBAを取得。その後、日本Microsoftにてプロダクトマネージャとプラットフォーム戦略を担当。2013年より米国Microsoftにて、オープンソースならびにクラウドビジネスのグローバルマーケティングを担当している。
今何をされているのか?

紅葉あふれるMicrosoft本社
編集部:今は米国Microsoft本社にて、Microsoft Azure (マイクロソフト・アジュール) のグローバルマーケティング戦略を担当されているということですが、具体的にはどんなことをされているんですか?
Microsoft Azureはマイクロソフトのクラウドプラットフォーム (PaaS/IaaS) 。2010年1月に世界21ヶ国で正式にサービスを開始し、2017年11月現在、140カ国以上に展開している。世界最先端のAIやBigDataも使えて、Windowsだけではなく、Linuxやオープンソースも使えるオープンなクラウドサービス。-Wikipedia
石坂さん:今は、プロダクトを作るエンジニアチームとマーケティングメッセージを作るチームの隣で、どうやってそのプロダクトを世界各国にブランディングするのかという戦略を見ています。なので、毎日各国のブランドマネージャーとやりとりしてますね。彼らへのマーケティング予算の割り振り方とか、GTM (Go To Market) の部分の戦略を決めて、あとはそれをどうやって彼らと実行していくかを毎日考えてます。

編集部:では、文字通りグローバルマーケティングの全責任を負っていると…
石坂さん:特にその中でも、オープンソースのテクノロジーに関するグローバルの売り上げ責任を負ってます。だから、売り上げそのものがコミットなんです。おそらくそれが他の会社のマーケティングと1つ違うところかなと思いますね。
編集部:ちなみに、何カ国ぐらい担当されてるんですか?
石坂さん:全世界です。日本もOne of Themです。Microsoftのオペレーションとしては全世界140カ国ぐらいにAzureが展開してるんですが、我々はそれを14のエリアに分けてるんです。例えば、アメリカは1つで大きなエリアですし、日本も実は1つの大きなエリアとして見てます。
編集部:そして、複数の国で1つのエリアになっているところもあると。
石坂さん:そうですね。例えばアジアだったら日本と中国を抜かしたアジアを1つのエリアとして見ていて、そのHQがシンガポールにある感じです。それがアフリカだったらもっと何十カ国とあって、そのHQがドバイにあるんです。なので、私はその拠点と直接やりとりをして、あとはその担当がアフリカ全域を見るというオペレーション体制ですね。
編集部:例えば、各エリアごとにどういうキャンペーンをやっていくかって、エリアの特性によっても変わると思うんですが、そのあたりも各エリアと一緒に話し合って決めるんですか?
石坂さん:そうですね。大体6-7割くらいの戦略は本社が決めます。でもやはり国によって特性があるじゃないですか。例えば、オープンソースの領域で行くとブラジルとか南米って、Moodleっていうのが教育の領域において支配的で、学校とか大学が全部それを使ってシラバスシステムとかをやってるんですよ。なので、そういった場合はMoodleとかと一緒にやっていかないといけないんです。
ムードル (Moodle) は、オープンソースのeラーニングプラットフォームであり、教育者が質の高いオンライン学習過程を作ることを助けるパッケージソフトである。-Wikipedia
編集部:どうやってローカルのプレイヤーと組むかが重要なんですね。
石坂さん:なので、大体の戦略はグローバルが決めて、あとはローカルがある程度遊びの幅を持ってオペレーションをしてる感じです。とは言え、「まとこ、そんなこと言ったってお前の言ってることはここでは通用しないんだよ。」みたいなローカルとの戦いは常にありますが(笑)
編集部:ブラジルとかめっちゃ強そうですね(笑) ちなみに、オープンソースだとコミュニティ形成も大事かなと思うんですが、どうやってみんなにMicrosoftのオープンソースのエコシステムに入ってもらうかみたいなところも石坂さんが考えられてるんですか?
石坂さん:まさにそこは今率先してやっているところで、重要な戦略の1つですね。まあオープンソースのコミュニティと言っても色々あって、開発ツールからデータベースから全部あるんですよ。

編集部:たしかに、プログラミング言語もオープンソースみたいなもんですもんね。
石坂さん:そうです。ですから、今GoogleさんがやってるGoっていう開発言語とか、日本初のRubyとか、そういうのも全部入って来るんです。
開発者が命 / 給与は日本の6倍?
編集部:この前シリコンバレーの企業をいくつか訪問されていましたが、シアトルにあるMicrosoftとシリコンバレーにある企業の間で何か違いを感じましたか?
石坂さん:ビッグ5との比較で言うとあまり違いはなかったですが、ただやっぱり会社によって色は違うなと思いましたね。特に印象的だったのがFacebookで、開発者に対してものすごく愛があるなと感じました。

編集部:それはどういったところでですか?
石坂さん:例えば、朝だったら、朝10時までに来れば特別に飲める野菜ジュースがあるみたいな。開発者って朝起きたくないんですよ。だから、そういった開発者の良いところも悪いところも理解した上で、彼らが一番効果的かつ効率的に働ける環境にしてるんだろうなと。
編集部:なるほど、そういうインセンティブ設計がうまいんですね。じゃあ、どちらかというと、環境の違いというよりは会社のカルチャーの違いを感じたと。
石坂さん:そうですね。これはMicrosoftでも同じですが、FacebookやGoogleでも、やはり開発者が命なんだなと感じました。彼らが次に売れるものとかマーケターがメッセージを出せるようなものを作ってくれるわけじゃないですか。なので、彼らに対する尊敬というのはすごいですね。
編集部:ちなみに、給与等の待遇についても気になるんですが、その辺りって実際どうなんですか?
石坂さん:ボーナスなどを含めると、学部の新卒でも日本企業の4倍から6倍は給料がもらえます。あとは、学生が行うサマーインターンですら、多いところで月に100万円ほど報酬がもらえたりしますよ。しかも、居住費や渡航費は含めないで!
編集部:え、そんなにもらえるんですか?日本のIT企業でそんなにお金出してるところ聞いたことないですよ(笑)
マーケターの日米での違い/バリューの出し方
編集部:日本と本社両方でマーケターをやってみて、何か違いってありましたか?

石坂さん:違いはそんなに無いかもしれないけど、やはり本社にいた方が視野は広くなりますね。日本にいると日本しか見ないけど、本社にいると全世界を見るので、入って来る情報量も半端なく多いですし、他の国で何が起きてるのかっていうのも全部見るので。なので、「この国ではこれをやってるのに、この国ではやってない。なんでだろう。やれば良いのに。」みたいなのは見えてきますね。
編集部:より大局的な視点が求められると。
石坂さん:はい、日本と本社では地理的に見た俯瞰力と時間軸で見た俯瞰力が違いますね。日本だと、どうしても3ヶ月、6ヶ月、1年で成績を測られるので、ショートタームで物事を考えなきゃいけないんですが、本社だと何年も先を見てるので。ただ、日本のマーケターの方がよりお客様に近いし、それは彼らにとっての価値なんです。だから、これはどちらが良い悪いではなくて、それが日本と本社の違いなんです。
編集部:ちなみに、各エリアごとにどういうキャンペーンをやっていくかって、エリアの特性によっても変わると思うんですが、そのグローバルとローカルでのバランスの取り方において何か意識されてることってあるんですか?
石坂さん:そこは常に意識してますね。それがエンジニアチームに対する私のバリューの出し方でもあるんです。だって、私はエリア別の違いとか特性とかのナレッジを持っていて、エンジニアの人は持ってないじゃないですか。
編集部:そこの橋渡しというか、どういう風にプロダクトを作るともっと世の中の人にメッセージが届きやすくなるかとか、価値を感じてもらえるかっていうところを伝えるわけですね。
石坂さん:そうですね。もちろんエンジニアのチームも直接お客様と関わることって多いんですよ。でも鳥瞰的に物事を見るのは難しいですよね。だってカスタマーやマーケット、あとは競合の情報って私のところに来るので。だから、そこが私のマーケターとしてのバリューの出しどころだと思うし、私はそれがすごく楽しいんです。

編集部:どうしても日本のマーケットだけ見てると、グローバルに見るのが難しいのかなと思うんですが、そのあたりはどうやってやれるようになったんですか?
石坂さん:私の場合、日本のマーケットしか見てなくて、そのあたりの知見がなかったので、こっちに来てひたすら学んでますね。近くにAzureの人とか、IoTの人とか、Windowsサーバーを見てる人がいて、中には年配というか経験者の方もいるので、そういった人たちにメンタリングしてもらったり、あとはそういった人たちと一緒にランチして情報交換したりとか、そうやって日々ダイナミックに学んでます。
編集部:では、そうやって日々視野を広げていると。
石坂さん:あとは、「インドどうなってんねん」とか「イスラエルどうなってんねん」みたいなことを各国のブランドマネージャーとSkype for Businessとかでひたすら話してます。私は幸せだと思うんですよ。だって、教えてもらえるじゃないですか。しかも、彼らめっちゃ頭良いし(笑)
編集部:たしかにマーケティングするとなると、結局プロダクトだけじゃなくて、カルチャーも理解しないといけないので、そうすると色々と学びは多そうですね。
石坂さん:そうですね。それが面白くて、まだまだタケノコ成長中です。
MBAを取ろうと思った経緯
編集部:最初はNECに入社されて、その後ブリンガムヤング大学にMBA留学をされたとのことですが、NECからMBA留学をしようと思ったきっかけは何だったんですか?
石坂さん:1つの大きなターニングポイントは、自分がビジネスで英語の必要性を感じたことですかね。当時のNECのお客さんって、海外に本社か拠点があるところも多くて、そうなると英語で資料を作らないといけないこともあったんですよ。でも、その時ふと「あれ、英語でビジネスやったことない」って思ったんです。こんな時、逆にみなさんだったらどうします?
編集部:やはり留学ですかね。
石坂さん:留学も1つですよね。あとはアメリカのNECに出向させてもらうとか、いくつか手はあったんですよ。その中でも、インドネシアとかシンガポールへの出向パターンっていうのがあって、言われたのは年間180日は全部出張だと。その時、家族で話し合って、子供が生まれたばかりだから厳しいよねと。

編集部:たしかにそれは厳しいですね。
石坂さん:私の中では家族の幸せの方が仕事よりも次元が高いんです。家族が幸せじゃなければ、どんなにビジネスで成功したとしても、それは私の中で人生の失敗なんです。なので、上司からの提案も丁重に断ったんですよ。その時に考えたのがMBAだったんです。法学部だったから、マーケティングのマの字もやってないし、色んな基礎を学ぶ手段としてMBAは良いのかなと。
編集部:たしかにもともと法学部でしたもんね。
石坂さん:あとは、私の義理の父がビジネススクールを出ていて、色んなアドバイスを頂いたんです。「このままいくと社畜になるよ。行く末が見えるね。」みたいなことを言われて、やはり行くべきなんじゃないかと(笑)
編集部:社費でMBAを取るというのは選択肢になかったんですか?
石坂さん:もちろんありましたよ。ですけど、社費で行けるかどうかっていう議論になった時に10年待てって言われたんですよ。
編集部:10年?(笑)
石坂さん:そのロジックは分からなかったんですが、当時、早稲田の同期とかで普通にハーバードビジネススクールとかに行き始めてる人がいたんで、10年ってどうなのかなって。しかも英語ができない自分が30代になって、英語キャッチアップできるのかなって(笑) なので、自費でMBAを取ることにしました。
MBA取得後、なぜ日本Microsoftなのか?
編集部:ブリンガムヤング大学でMBAを取得後、日本Microsoftへ就職された経緯を教えてもらえますか?
石坂さん:当時、MBAでマーケティングを取ってたクラスメートと西海岸に来て、インテル、ナイキ、シスコ、ギャップ、e-Bay、アマゾン、MicrosoftにOB訪問したんですよ。その時にMicrosoftにいたOBだけは、次の世界をどう作るかってことしか考えてないクレイジーな人たちだったんです(笑) 今まで自分がNECで次の10億円の案件とかを見てた世界と違う世界をがつーんと受けて、「やばい、こいつらゼロベースで世界見てる」っていう衝撃を受けたんです(笑)

編集部:それはやばいですね(笑)
石坂さん:作られた物を売るだけじゃなくて、世界を変える側にいる奴がいたみたいな(笑)
編集部:たしかにこっちだと、本気でそういうこと言ってて、本当に実行してる人たちがいますもんね(笑)
石坂さん:そして、Microsoftって技術力、知名度、人材、資本全部持ってるんですよ。しかもBtoB、BtoC、BtoG、BtoBtoCと繋がってて、プロダクトポートフォリオを見ると何でもあると。この会社はやべーと(笑) なので、その時からMicrosoftを意識し始めましたね。
編集部:たしかに考えて見ると全部持ってますよね(笑)
石坂さん:それでボストンキャリアフォーラムで、Microsoftも含めて20社くらい面接を受けたんですよ。当時OBHRっていう組織行動学とHRを中心に取ってたんで、人事に行こうかなと考えてたんですが、当時の日本Microsoftのマーケティングトップで、現在Dropbox Japanトップの五十嵐さんに「君のレジュメを見ると、うちのマーケじゃね?」みたいなことを言われて、「いや、人事って言いましたよね?」みたいな(笑) なんか必死に口説かれたんです(笑)

編集部:勢いがすごいですね(笑) ちなみに、NECは受けなかったんですか?
石坂さん:もちろんNECも受けようとしてたんですが、MBA枠がなかったのと、そもそもボスキャリにも来てなかったんじゃないかな。私NECにもレジュメを送ったんですよ。そしたら連絡こなくてスルーされたんです。
編集部:それは辛い…
石坂さん:結局、ボスキャリではコンサルとかメディカル系からもオファーをもらったんですが、妻と話し合ってMicrosoftにさせて頂こうと決めたんです。私は50個くらい項目書いて、オファーもらったところのランキングを付けたんですけど、妻は直感で「あんたはMicrosoftっぽいよ」って(笑) 結構妻の直感を信じているので、その後押しもあってMicrosoftにしました。
編集部:女性の勘ってすごいですもんね(笑)
石坂さん:あとMicrosoftが面白かったのは、内定後にまだ決めてもないのに「ぜひ将来働く可能性のあるチームと会って欲しい」と、日本に行くチケットとかホテルとか飯代まで用意してくれたんですよ。やはりそういうのを見た時にMicrosoftは人を大事にしてる会社だなと思ったし、あとは実際にマーケティングチームの人と会った時に、すごくできる人たちがいて、この人たちと一緒に働けたら面白いかなと思ったんです。
編集部:かなり太っ腹ですね。
石坂さん:あと、今日本Microsoftの社長になってる平野さんも実はブリンガムヤング大学の卒業生で、同じモルモン教なので家族の付き合いもあったんですよ。なので、そういう縁が重なったのも決め手でしたね。
編集部:じゃあ色んな縁が組み合わさって日本Microsoftにたどり着いたわけですね。
今後のキャリア観
編集部:バイリンガールちかさんの動画で、グローバルのマーケティングが面白いから今後も今の仕事をやっていきたいと仰られていましたが、もっと先の10年、20年のスパンで考えた時って、どんなキャリア観をお持ちなんですか?起業にも興味はあるんですか?
石坂さん:今のところ起業には興味ないですね。MicrosoftってBizSparkっていうベンチャーサポートプログラムがあって、スタートアップの人たちにクラウドのAzureとかAIを5000万円分まであげられるんです。たまにそこにいるチームとやりとりをするんですが、Microsoftが持つグローバルのBtoBチャネルとかを使って、彼らと一緒に伸びて行くのがすごい面白いんですよ。だって、スタートアップがないのって、知名度、信用、チャネルじゃないですか。Microsoft全部あるじゃんっていう(笑)

編集部:たしかに、スタートアップ側としてもMicrosoftと一緒にやっていった方がショートカットできますよね。
石坂さん:それなら、その橋渡し役をした方が正しいスタートアップとかイノベーションを促進できるのかなと。自分が作る側になるのか、そこを支援する側になって一緒に伸びて行くのかを考えた時に、どっちの方が自分の人生が面白いかと考えると、今はこっち側の方が面白いんじゃないかと思うんです。あとスタートアップにいくと、絶対1日28時間くらい働かないと無理じゃないですか。
編集部:たしかにどこかのタイミングではそいういうフェーズを経ないとですよね。
石坂さん:私は毎週奥さんとデートしたいので、それはありえないなと。あと学生さんのイベントとかもボランティアでやりたいので、そういうのってスタートアップにいるとできないじゃないですか。
編集部:良くも悪くも、1つのプロダクトに自分の全リソースを注ぐって感じですもんね。
石坂さん:あと、私の人生のゴールが「グローバルレベルで多くの人たちの幸せをITで見る」ということなので、それなら別にスタートアップじゃなくても良いんじゃないかと思ってるだけなんです。
日本のスタートアップが勝てない理由
編集部:こちらのスタートアップと一緒に仕事をしてみて、どういうところに彼らの強さを感じますか?僕らとしては、なぜ日本のスタートアップがグローバルで成功しないのかという点に興味があるんです。

石坂さん:これには色んな人の意見があって、私は専門家ではないんですが、まず日本の方々は、聞いててポテンヒットを狙ってるというか、なんか考えてることが小さいなと。そして、そもそも論として、大きいことを考えてる母数が少ないんで、小さく納まるなーというのが1つですね。あとは、大きく頑張ろうとしてる人もいますが、グローバルスケールで考えれる人が少ないかなと思います。
編集部:難しいところですよね。
石坂さん:あとは、考えができたとしても、Executionがすごく重要かなと思うんです。行動力、他人を説得する能力、夢を見させる能力、プレゼン能力とか、あとは「こいつ訳わかんないけど、やらせてみたい」と思わせる能力ですね。やはりこちらの人たちは、それがすごく上手いなと思います。
編集部:たしかに行動力やカリスマ性みたいなものも大事ですよね。
石坂さん:あとは、それを英語でやんないといけないじゃないですか。だから、英語力、グローバルスケールで考える力、Execution力とかを掛け算していくと、そういう日本人って限りなく少ないんじゃないかなと思うんです。もちろん、そういう人たちを育てようという動きはあるんだけど、そもそもそれができてる人が少ないから教えられないみたいな。

編集部:日本のスタートアップだと、まずは日本である程度成功して、実績とかお金とか人脈を作ってから海外に行くって考えてる人も多いと思うんですが、そこについてどう思いますか?やはり、1発目から海外でチャレンジすべきなんですかね?
石坂さん:両方メリット・デメリットがあるんじゃないですか。日本で成功すると、なんで海外で失敗するかというと、日本って特殊じゃないですか。iPhoneのマーケットシェアが55%とか商習慣とかも含めて。なので、日本での成功がそのまま世界にアプライできないケースは多いですよね。そういったことが足かせになっているのかなとは思いますね。
編集部:たしかに、そもそも日本と海外だと特性とか価値観が違いますもんね。
メッセージ
編集部:最後に、若い方へ何かメッセージを頂けませんか?
石坂さん:偉そうなことは言えないんですが、ただ思うのは、他人のものさしで自分の幸せを測っている日本人が多いので、もっと自分を持って欲しいなということですね。まずは自分に正直で良いんじゃないかなと。
編集部:たしかに…
石坂さん:だから私は別に全ての人が海外に行けとは思わないし、全ての人が英語をうまくなる必要があるとも思ってないんです。でも一番最初に来るのは「人って幸せになれるよね」ということなんです。全ての人が幸せになれる権利があると思うし、人それぞれ色んな才能が与えられていて、それはみんな違っていて当たり前なので。

編集部:間違いないですね。
石坂さん:これはタラントという私が聖書の中で最も好きな話なんですが、ある主人が召使い3人にタラントっていうお金のようなものを1,2,5って与えるんですよ。それでしばらくしてから与えられたお金で何をしたのかを話し合うんですね。
5をもらった人はそれを元手に10にし、2をもらった人はそれを元手に4にしましたと。主人はこの二人を良くやったと褒めるんです。でも、1をもらった人は失敗を恐れて土の中に隠したんです。それで「私は1のままあります」と。それで主人は怒ったんです。「あなたは1を与えられて2にすれば良かったのに、なぜしなかったんですか」と。
編集部:興味深い話ですね。
石坂さん:ここで面白いのは、私は色んな人が色んなタラントを持っていると思っていて、ある軸だけで見たら1かもしれないけど、違う軸では5かもしれないということなんです。
でも、まずはそれを探さなきゃいけなくて、それを探して自分が楽しいと思えるところで突っ切ると。なので、それを探す旅として留学はありなのかなと思いますね。日本の中だけで旅してたら、日本での可能性しか見えないので。
編集部:たしかに一回外に出てみると、日本の良し悪しも見えてきますもんね。
石坂さん:そうなんですよ。だから、ぜひ自分が幸せになれることってなんだろうとゼロベースで考えて、それを探して欲しいんです。仕事も留学も言語も、それを達成するための手段に過ぎないんです。
編集部:全ては幸せになるための手段であると。
石坂さん:それを幼稚園とか子供の時からやっていれば、日本人ってもっと変わるんじゃないかな。日本の良さってすごくあるじゃないですか。他人の気持ちがわかるとか、きめ細かいところとか。そこに今言ったものが加わったら最強かなと思うんです。それが1億2千万人できたらすげーことが起こるんじゃないかなと(笑)
編集部:間違いないですね!石坂さん、本日はお忙しいなか、本当にありがとうございました!

最後にLinuxのペンギンを宣伝する石坂さん(笑)
まとめ & おまけ
今回はシアトル出張編ということで、ワシントン州レドモンドにあるMicrosoft本社でマーケターとして働く石坂さんを取材しました。エンジニアが重宝される中でマーケターがどのようにバリューを発揮していくのか、また、日米でのマーケターの俯瞰力の違いなどについても伺うことができました。実際にMicrosoft本社で世界中の拠点とやりとりされている石坂さんだからこそお話できる部分も多かったように思います。
また、余談ではありますが、Microsoft本社で行われたビジコンにSiliconValleyWorkersの編集部で参加したのですが、なんと優勝しました(笑) とても貴重な体験をさせて頂き、石坂さんをはじめ、現地で出会った全ての方に感謝感謝です。本当にありがとうございました!

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