「アクションを起こし続けることが大事」GFR Fundに聞く シリコンバレー村社会への入り方
シリコンバレー村社会。
それは、イノベーションの聖地とも言われ、多様性を広く受け入れているシリコンバレーの裏の顔でもある。来る者を拒まない一方、外から来た者を村の中までは入れない、そんな文化である。
世界を牽引するイノベーティブな企業が日本からなかなか出てこないのも、このシリコンバレー村社会が原因なのかもしれない。
今日は、どうすればそんなシリコンバレー村社会に入り込んでプレゼンスを発揮していけるのかについて、シリコンバレーのベンチャーキャピタル 『GFR Fund』でVR/AR関連のスタートアップを中心に投資活動をしている古森泰さんにお伺いした。

古森 泰 (Yasushi Komori):
2007年、早稲田大学政治経済学部卒業。新卒で日系大手のソーシャルモバイル会社にエンジニアとして就職。2014年、サンフランシスコに移動。現在は、シリコンバレーを拠点とするVC、GFR FundでVR/AR関連のスタートアップを中心に投資活動をしている。Twitter: @Yasushi_1985
どうやって良い案件を持ってくるかが大事
編集部:今はどういったことをされてるんですか?
古森さん:基本的には「できるだけ多くのスタートアップに会って、そのスタートアップに投資するかどうかを決める」というすごくシンプルなことをしてますね。

みなさん、「ベンチャーキャピタリストは目利きがうまい人」と思っているかもしれないんですが、実は目利き以上に重要なのが「どうやって良い案件を持ってくるか」で、それがベンチャーキャピタリストとして一番工夫が必要なところなんです。
編集部:持ってくる方法が大事だということですね。ちなみに、どうすれば良い案件を持ってこれるんですか?
古森さん:やはり人からの紹介ですかね。
僕らの指標として、だいたい100社くらいあったら、80社くらいが1回のミーティングで「すみません」となることが多くて、残りの20社くらいが「2回目以降もミーティングを続けていきましょう」という感じになるんですよ。
それで、その残った20社のうち5社くらいを実際に投資するかどうかまで検討して、実際に投資するのは1-2社という感じなんです。
そして、この100社の中から1社に投資するときの割合とは別に、最終的に投資する案件のだいたい50%くらいが人からの紹介で、残りの50%がいわゆる僕らが自ら拾いに行ったというか、紹介ではなく見つけた案件ですね。
編集部:それこそイベントやウェブサイトを通して見つけたりということですね。
古森さん:そうです。そっちは割と地味で、それこそ『VRDC』や『VRLA』といったVR/ARのイベントに行って、ブースを1つずつ見て回って、名刺交換してという感じです。
もう1つパブリックにできるところで言うと、有名ですけど『Angel List』みたいなものでデータを集めて、そこから昔の電話営業じゃないですけど、1社ずつあたるみたいなこともしますね。イベントを回るよりかは1つ1つ電話で突撃していく方が良い案件に出会える確率は高いと思います。
編集部:結構地道なんですね。ちなみに、人からの紹介というのは誰からの紹介なんですか?
めちゃくちゃ大事な投資家同士の繋がり
古森さん:これはまさにシリコンバレー村問題に行き着くのですが、原則は投資家同士のネットワークですね。
なので、さっき普段の仕事はスタートアップと会うことだと言ったんですが、その一方でどれだけ投資家とコネクションを持てるかというのも非常に重要なんです。そこで出会った投資家から違う投資家を紹介してもらえたりするので。
だから、各投資家がどういうところに興味を持っているかというプロフィールは常に頭に入れてますね。そうすることで、何か案件があった時に、僕らが投資するかどうかはさて置き、「あ、この案件ならあの投資家がすごく好きそうだな」と繋げられるので。
編集部:まさにギブアンドテイクですね!
古森さん:そういう情報のギブアンドテイクみたいなことを通して、投資家たちとの間に信頼関係を築いていくんです。そうすることで、向こうも何か僕らに合いそうな案件があれば紹介してくれるというわけです。
だから、僕としては、ギブ、ギブ、ギブ、ギブ、ギブ…そしてテイクくらいだと思っていて、そのためにも常に頭の中に色んなVR/AR関係の投資家の情報を入れてあるんです。あと、たまにスタートアップの方から「この投資家を紹介してくれ」と言われることもあるんですが…
編集部:逆にですか?そこも繋ぐんですか?
古森さん:もちろん「オフコース」って感じで繋ぎますね。僕らにはメリットしかないので。だから、感覚的には10件紹介すると、1件くらい紹介が返ってくるという感じですかね。
そして、この返ってくるというのがすごく重要で、投資家からの紹介ということは最低限「あ、この会社は可能性があるかもしれない」というフィルターはクリアしてるわけですよ。
なので、投資家経由のインバウンドはどの会社であっても、大抵失敗しないというか、少なくともさっきの100社のうちの20社に入るケースは多いですね。
編集部:ただ、VR/AR関係の投資家ってたくさんいるわけじゃないですか。例えば、良さげなスタートアップがいたとして、投資家Aさんが「古森さんかBさん、どちらに紹介しよう…」ということも起こり得ますよね?
古森さん:そう!そこがすごく重要なんです。そこがいわゆるシリコンバレー村問題の一番難しいところで、VCのヒエラルキーみたいなのがあるんですが…
編集部:Tier (ティア) でしたっけ?
古森さん:そうです。だいたいVCってティア1からティア5くらいに分類されてるんですが、ティア1というと、いわゆる『Andreessen Horowitz』『Accel』『Sequoia』といったすごいところになります。
編集部:錚々たるVCですね。
古森さん:まぁ、どれがティア2でどれがティア3かっていうのは伏せておきますけど、日本を含むアメリカ国外から来たVCというのは、ティア4とかティア5といった割とネットワークの弱いところにいて、なかなか紹介しようというところには入ってこないんですよね。
編集部:繋がりがないと厳しいですよね。
古森さん:だから、一番重要なのは、他の投資家たちに「あのVCは面倒見が良いから、繋いであげたらスタートアップ側にもメリットがあるだろう」と思ってもらうことなんです。そうすると、誰に紹介しようかと迷った時に選んでもらえる確率も上がると思うので。
そのためにも、投資家たちとフランクに情報交換しあえる関係になっているか、そして、投資した会社をちゃんとサポートできているかというファンダメンタルな活動が重要で、僕たちもそこを意識して活動してますね。
アクションを起こして認知を広める
編集部:それは例えばどんなことですか?
古森さん:例えば、この前僕らがオーガナイザーになってAR関連のイベントをやったんですが、あれもそのことをすごく意識しているんです。
要は、僕らがオーガナイザーになることで、少なくとも他の投資家やスタートアップからは、「僕らのVC = ARの産業を盛り上げるために自分たちでアクセルを踏んでいる集合体」という認識が強まるわけです。いわゆるブランディングですね。

日本に限らずアメリカ国外のVCには、企業にお金を入れるだけとか、ひたすら紹介だけしてもらってお金を入れるだけというところも多いと思うんですが、やはりシリコンバレーで生きていくためには、自らがシリコンバレーのコミュニティとかネットワークに働きかけて、自分たちでその産業をドライブしていくんだというアクションが大事ですよね。
そうすることによって、スタートアップ側も「あのVCはVR/ARにすごく投資してるから紹介してくれ」と他の投資家に頼むかもしれないし、「あのVCはあのイベントをやったところだよね、知ってる知ってる」となるかもしれないわけです。
僕らがやったイベントには240社の応募が来たんですが、そうすると「僕らのVC = 240社が応募したイベントのオーガナイザー」というブランドができるので、他の投資家からも「ちょっと意見を聞きたいんだけど…」といったポジションに立ちやすくなるんです。
編集部:そう考えると、やはりアクションを起こすのってめちゃくちゃ大事ですね!
古森さん:なので、とにかく一定のアクションを起こすこと、そして、それをずっとやり続けていくこと、この二つがシリコンバレーの村社会に入っていく上ではすごく重要なのかと思います。
とはいえ、最終的には「あのVCにお金を入れてもらえれば、スタートアップは必ず成長する」という状態になるのがベストなので、意識しなきゃいけないのは、投資した後にスタートアップを育てて、ちゃんと実績を出していくことなんですけどね。
やはり、それがVCの本業だと思いますし、その域にたどり着いているUS外の投資家というのは相当珍しいんじゃないかと思います。
ただ、一度そういったブランドができれば、シリコンバレーの村社会でも、「ARの案件だったらあのVCにお願いしよう。そうすればちゃんとスタートアップを育ててくれるだろう」という風になるんじゃないかと思います。
結局、上の人たちが勝ち続ける?
編集部:例えば、ティア1の有名なVCが投資したからメディアにも取り上げて成功するみたいなことってないんですか?要は、投資して成功させるんじゃなくて、有名なところが投資したから成功するみたいな。
古森さん:ん~、否めないですね。まあVCとしては投資する以上、最終的なリターンを残さなきゃいけないので、成功率を高めるためにはそういった存在になっていくこともすごく重要ですよね。
編集部:もちろん、ティア1のVCが投資するとなると、それなりに技術があって、投資するだけの要素が揃っているとは思うのですが、いかにその情報を手に入れるかも大事だと思うんです。となると、ティア1のVCにしか出回ってない情報もあったりするんですかね?
古森さん:もう、いっぱいありますよ。例えば、VR/AR案件では、この前『Blue Vision Labs』というイギリスのARスタートアップが、Googleなどから15億円近く投資を受けたというニュースがあったんですが、この辺の情報はおそらく西海岸のVR/ARの投資家たちにもあまり出回ってなかったみたいですね。
Blue Vision Labs, which builds ‘collaborative’ AR, emerges from stealth with $14.5M led by GV | TechCrunch
ただ、他のティア3、ティア4にいる投資家たちも気づいていなかったみたいなので、そういうことはよくあります。
編集部:上の人たちはどこかから情報を得ているわけですね。
VRへの投資は冷え込んでる?
編集部:では、少し話題を変えて、VR/ARの投資状況やトレンドについてお伺いしても良いですか?
古森さん:VR、ARで区切って話しますね。まずVRに関して、マクロなトレンドのお話をすると、2018年5月現在で、VRの投資環境は相当冷え込んでると思いますね。
編集部:え、そうなんですか?
古森さん:はい、相当冷え込んでます。
編集部:それはどういった要因で…?
古森さん:要因はいくつかあるんですけど、まず1つ、特にネガティブでもないのが、いわゆるトップVCとか我々のようなVR/AR専業の投資家たちは、すでに投資し終わってるんですね。
例えば、今2018年5月の状態で「VR向けのSNSをやる!」みたいな会社があったとして、もはや誰も投資しないですよね。
だって、Facebookがやるって公言してるし、『VRChat』もあんなにユーザーの規模が大きく育ってるし、あとはマイクロソフトに買収されてしまいましたけど、『AltspaceVR』だってあるし。
マイクロソフト、ソーシャルVRの先駆けAltspaceVRを買収 | Mogura VR
なので、結局SNS、VRみたいなアドバタイジングVRとか、360°型のVRとか。今でいうVRのアーケードとか、そういう市場が大きいところは投資が終わっちゃってるんですよ、すべて。だから、あとは成長を見守るだけという感じです。
編集部:種まきが終わったということですね。
古森さん:そうです。他の投資家もそうだと思うんですが、一旦その芽がどうなるかは多少様子待ちというところもあるので、それが特にネガティブではない投資状況上のお話です。
そして、少しネガティブな話をすると、僕らが予想したよりマーケットが育ってなかったというのがありますかね。
編集部:と言いますと?
古森さん:具体的な数字では説明できないんですけど、ゲームだけで言えば、今だいたい1億円以上を稼いでるタイトルが世界に25本あるんですね。
編集部:そんなにあるんですか?
古森さん:でも、あれだけ星の数ある会社の中で、25社しか勝者がいなかったんです。やっぱり、これが100とかじゃなきゃいけなかったんですよ。そして、1億じゃなくて、10億稼いでいる会社が25社とかじゃないといけなかったんです。
たしか、今一番売上を上げているところでも、5億円とか10億円のレンジなんです。そのレンジだと、そんなに時価総額も大きくなかったりするので。
シード投資って、たくさん投資した案件のうち、ほんの数社で大きなリターンを得るという感じなんですが、まだその規模だとその域に達してないので、マーケットが伸びるスピートが若干遅かったかなと思っていて、それが投資が冷え込んでる2つ目の理由ですね。
この2つの理由で、今VRの投資が厳しい状況になってるのは間違いないです。
ただ、最近だと『Oculus Go』のように、デバイスの値段も下がってきてるし、小型化も進んで性能も上がっているので、徐々にマーケット的な厳しさは雪解けしていくのかなとは思いますね。
とはいうものの、僕個人としては、2019年上旬くらいまでは、今の状況が続くのではないのかなというのが正直な感想です。2019年後半から2020年前半にかけてゆっくりと雪解けが始まっていくのかなと考えてます。だからそのタイミングで、投資の第二ウェーブが起きる可能性は見つつ行動してますね。
編集部:その第二ウェーブというのは、どういったものなんですか?
古森さん:それは、さっきのSNSとかアドバタイジングの投資ではなくて、よりコンテンツ的な投資が佳境に入るんじゃないかと思いますね。例えば、Free to Play VRなんて、まだ誰も投資できていないので。
今って、いわゆるプレミアムコンテンツのVRしか世の中にないんですけど、モバイルのアプリを見ると、Free to Playっていうのが1つのキーワードなので、Free to Play VRとかも、来年の今頃には始まってるかもしれないですね。
ARのマクロなトレンド
編集部:一方、ARに関してはどうですか?
古森さん:ARはこれまた色々と難しいんですが、ざっくりいうとVRより2-3年くらい遅くれて進んでいる感じだと思ってもらうのがちょうどいいですね。そして、今一番活況なのがARクラウドです。
編集部:ARクラウド…ですか?
古森さん:ARクラウドというのは、空間の絶対ポジションを認識して、その空間の3Dモデルなり、画像の特徴点なりを全部クラウド上で管理する技術ですね。
それで、クライアントを立ち上げた瞬間に自分の位置を予測して、自分の位置及びその周りにある3Dオブジェクトを現実世界にダウンロードしてくるわけです。「ARクラウド 古森」って検索すると良い記事が出てくるので、興味があればぜひ読んでみてください。
編集部:ぜひ読ませてもらいます!
古森さん:それで、今はARKitとかも出てきて、現実世界の3Dオブジェクトとかってなんとなく面白そうに思えるんですけど、まだまだできないことがいっぱいあって、例えば、永続性とマルチプレーヤーというのがまだできないと言われているんですね。
それは何かというと、例えば、今二人の間に3Dキャラクターを置いて、お互いのスマートフォン越しに見合ってるとするじゃないですか。でも、現時点では、二人の間に正確にこの3Dキャラクターを置くことはできないんです。

つまり、僕はここに置いたけど、このポジションを相手のスマホのクラウドから把握する技術はないということです。
と同時に、そこに何かを置いて、一旦アプリケーションをクローズして、また3日後とかに立ち上げて、その時にそこに物体が永続するような技術もまだないんです。
2018年7月現在、 ARKit 2.0(Apple)やARCore 1.2(Googe)の発表がありARクラウドの機能が近い将来iOSやAndroidで使えることが期待されている。
編集部:特にそれを地球規模でやろうとすると、膨大なデータの保存とGPSを含めた空間認識力とかも必要になるから技術的に難しそうですね。
古森さん:膨大な話です。なので、ARクラウドというのは、PCにおけるインターネットだったり、インターネットにおけるSNSという感じで、ARクラウドを制した人はすごく成長するよねと言われてます。
で、そのシード投資が過去半年くらいすごく活況だったんです。このシード投資がだいたい2017年の9月から始まって、2018年の3月で終わりました。
編集部:あ、終わったんですか?
古森さん:終わりました。ニュースを見てる限り、ティア1からティア4まで、だいたいチェックし終わりましたね。
編集部:じゃあ、もう待つしかないと。
古森さん:そうです。ARクラウド以外にも、AR周りを支える開発基盤的なところへも一通り投資が行われて、この辺はみんなシード投資が終わりましたねっていうところです。
あと、いわゆる本命とされてるARグラスもまだ20万円とか40万円という世界なので、一般のユーザーたちがダウンロードして楽しむところまではまだ時間がかかるかなと思っていて、当面はエンタープライズ系を中心に伸びていくと僕は予測してます。
編集部:たしかに、一般ユーザーにはまだまだ高いですよね。ただ、最近はスマホのARアプリも増えていると思うのですが、そこに関してはどうですか?
古森さん:これは僕じゃなくて、他の投資家たちが言っていることなんですが、例えば、ゾンビが襲ってくるようなゲームなら、ARよりVRの方が没入感があるし、わざわざARのアプリとして携帯をかざす必要ってないですよね?
だから、僕個人としては、次に来るARアプリの分野はディスカバリーだと思っていて…
次来るARアプリはディスカバリー
編集部:ディスカバリー…ですか?
古森さん:そうです。スマホを色んなところに向けて使う理由って、おそらく物を探す以外にないと思うんですよ。
なので、例えば、どこかの駅に行きたいってなったときに、スマホをかざすと進むべき方向の矢印が出てくるとか、そこに行くまでにオススメのレストランの情報が出てきたりっていうのは、ディスカバリーだよねって思ってて。
編集部:たしかにその用途は増えそうですね。
古森さん:なので、これは僕個人が思っていることですが、おそらく今後はARでレストランを探したり、LinkedInやFacebook的な感じで人を探したり、昔の偉人が残したメッセージを探したりとか、そういうディスカバリーが発展していくと思いますね。
編集部:ちなみに、ARアプリというところで、以前twitterで家具系のARが多いみたいなことを呟いてましたが、これってしゃべれますか?
古森さん:しゃべるしゃべる(笑)
家具ARまたきたーーーーー
— Yasushi@ シリコンバレー (@Yasushi_1985) April 25, 2018
「家具 × AR」がめっちゃ多い?
古森さん:もう分かりやすいユースケースなんでしょうね。まぁ、もっともだと思います。無いものを拡張現実上に置いて、実際に想像してEコマースするっていう。だから、家具ARだけで20-30社くらいあったんじゃないですかね。
編集部:え、ここら辺だけでですか?
古森さん:いや、全世界でです。でも、誰も投資しないですよね。っていうのは、そもそもIKEAとかAmazonがいるわけで、彼らにやられたらもう勝てないですから。
なので、競争が過熱した時点でWinnerを選ぶコストが高いのと、AmazonとかIKEAが入り込んできた瞬間に厳しくなるのとで投資するのは厳しいなと。
編集部:レッドオーシャンすぎるわけですね。
古森さん:そうです。誰もが思いつくところは避けたいですよね。なので、家具ARに関しては、またこれかっていうのが非常に多いです。
特に、その競合が強い場合は、IKEAとかAmazonに勝つ戦略が相当強くないと厳しいですね。僕らもVR/ARの専門家なので、下手したらスタートアップの人たちよりも情報を持ってるんです。
だから、「あの競合はすでに10億くらい売り上げがあるけどどう戦って行くの?」みたいな質問をするんですが、大抵の場合はクリアに答えられないですね。
逆に質問なんですが、どうやって今からAmazon、IKEAに勝つんですかね?
編集部:売却するという手はないんですか?例えば、AmazonとかIKEAがそういったものを開発したいと思った時に、「あのスタートアップはこんなに技術を持ってて、顧客も集めてるのか。それならもう買った方が早いな」みたいな。
古森さん:あ、それは良いポイントですね!そこでキーになるのは、IKEAが開発できないことですよね。それで、ようやく考えられるかもです。
ただ、現状で出回ってる家具ARって、ARKitを使って3D空間にAR家具を選んで置く程度のものなんですよね。これって、スタートアップを買収する必要ありますかね?
編集部:あんまりないかもしれないですね…
古森さん:そう。社内のR&Dで、どこかからエンジニアを2-3人引っ張ってくればできちゃうんですよ。僕自身がエンジニアとしてARキットの開発をしてるんで、そこもだいたい分かっちゃうんです。
編集部:そうか、もともとエンジニアだったから、その視点が投資にも活きているわけですね!
技術力よりも大事なPMF?
古森さん:めちゃくちゃ活きてますね。でも、これはちょっと変な話になるんですが、技術力はなさすぎてもダメですが、たとえあったとしても売れないものは売れないんですよ。
編集部:どういうことですか?
古森さん:要は、モノを売る上では、プロダクト・マーケット・フィット (PMF) も大事で、そんなに大したことないプロダクトでも、PMFをちゃんとすればガンガン売れる場合もあるんです。
その良い例が、『Dollar Shave Club』のサブスクリプションモデルで、これは月額数ドル払えば、髭剃りとシェービングクリームが家に届くようなサービスなんですが、これってなんの技術革新もないじゃないですか?
でも、これがたしか最終的にはユニリーバに10億ドル程度 (1000億円くらい) で買収されたんです。
Unileverが10億ドルでDollar Shave Clubを買収した理由 | TechCrunch Japan
編集部:そんな大金で売れたんですか!?でも、たしかに技術的なイノベーションの要素はないですね。
古森さん:そう。だから、これはまさに技術力ではなく、どちらかというとプロダクト・マーケット・フィットを見つけて売り込んだ成功例です。
とは言うものの、それはかなり特殊な例なので、VR/ARにおいてはある程度技術的に高いアドバンテージを持ってることは大事だし、僕もそこを非常によく見てますね。
例えば、ARクラウドって、クラウドポイント型、3Dモデル型、画像特徴点型の3パターンに分類されるんですが、僕は彼らがその技術についてちゃんと説明できるかとか、あとはどうサーバーとやりとりして、どうデータを縮小化するかといったことも全部聞くんですね。
そして、そういう細かいところまで全部答えられるところはすごく良いなと思います。そういったところは真に技術力・競争力があるので、他社がやりたいと思ってもそうそう真似できないっていう良さがありますよね。
編集部:たしかに!
古森さん:特にARクラウド系はマシンラーニングとかディープラーニングのようにデータを突っ込んだ者勝ちみたいな部分があるので、どれだけデータを突っ込めるかがキーになってくるんです。

だから、早いうちから技術的なアドバンテージを持って、トレーニングデータをガンガン突っ込めているところは非常に良いですね。それを正しいマーケットでやってたら、それはもう投資したくなる案件です。
編集部:ちなみに、データという観点から言うと、GoogleやFacebookといった既に膨大なデータを持つところが最終的に勝つんじゃないかと思うんですが、そこはどうなんですか?
古森さん:そこはおっしゃる通りで、勝てるのかっていう質問があるんですが、僕らはGoogleやFacebookがやりそうなところには投資しないです。
逆に彼らに将来買われそうなところに投資する方が正しいかもしれないですね。だから、何かの分野でイノベーションを起こそうとしていて、それに関連する元Googleの人とか元Facebookの人たちがジョインしていたりすると良いサインです。
編集部:じゃあ、投資するかどうかを決める時ってかなり見るところが多いわけですね。
古森さん:多いです。かなり多角的な目で見てますね。
日本のスタートアップは世界で勝てるのか?
編集部:例えば、日本のVR/ARのスタートアップがこっちで挑戦するとなると、どういったことに気をつければ良いと思いますか?
古森さん:単純にプロダクトの話だけじゃなくて、マーケティングやネットワーク、あとは現地での採用といったクリアしないといけないことがめちゃくちゃあるので、どちらかと言うと、作ってるモノや技術以上にそっちのハードルが高いかもしれないですね。
例えば、医療系だと手術のシミュレーションをVRでやろうとか、医療系の情報をARで出しながら手術しようみたいな話がたくさんあるんですが、医療のマーケットに入っていくためには医療関係者との繋がりがないとまず成功しないですよね。
というのも、保険のシステムから国の規制まで日本とは全く異なるので。
だから、もともと医者だったり、医療系のでっかいIT系のスタートアップで働いてたり、もしくは医療系のネットワークに長けた人たち、そして彼らが「この問題ならVR/ARで解決できるはずだ」っていう感じじゃないと、ネットワーク的、マーケット的、規制的に難しいと思います。
編集部:間違いないですね。
古森さん:医療は極端なケースですけど、建設業界、エンタメ、SNS、ゲーム…全ての産業で同じことが言えるんです。
だから、その業界で正しいことができるビジネスデベロップメントの人を採用したり、そのコミュニティで強靭なネットワークを持つ人を採用するのも良いかもですね。
編集部:たしかに、最近日本で上場したメルカリも、アメリカ側では元Facebook幹部のジョン・ラーゲリンさんが参画したことで、彼の持つネットワークが人の採用やビジネスにも活きているという話を聞いたことがあります。
古森さん:だから、例えば、日本の方がアメリカで成功したいっていう場合、すぐ来て起業でもいいんですが、まずはこっちにある自分の興味ある産業のスタートアップで3年くらい修行じゃないですけど、そこでネットワークを築くのも良いのかなと。
そこで、自分がその業界のキーパーソンを招待してイベントを運営する。で、自分のファンを1-2万人くらい作って、そこに自分のプロダクトを投入するくらいのやり方をしないと難しいんじゃないかと思います。
編集部:そうすることで、ビジョンに共感した人も集まって、そういう人たちが持つネットワークも使えたりしますもんね。
古森さん:でも、たぶんこれは日本の方が日本でスタートアップをする場合も一緒だと思いますよ。ほら、よくあるじゃないですか。元サイバーエージェントの人たちが集まって起業したとか、元DeNAの人はDeNAのネットワークで繋がってるみたいな。
だから、アメリカに来た人がいきなりノーネットワークで成功できるかというと、相当厳しいと思います。そして、そこをクリアしていくにはかなり時間がかかるんじゃないかと思いますね。
過去の経緯、エンジニアを選んだ理由
編集部:では、過去の話に移りたいんですが、もともとは早稲田大学で経済を専攻されてますが、新卒では日系大手のソーシャルモバイル会社にエンジニアとして就職されてますよね。これは何があったんですか?
古森さん:当時、楽天とかサイバーエージェントが少しずつ頭角を現していて、特にサイバーエージェントが電通とか博報堂等の広告のシェアをインターネットという角度から少しずつ奪っていて。
楽天なんて小売業界のシェアをどれだけ奪ったか計り知れないですが、全体的な業界のシェアを見てると、少しずつITに進んでるなっていうのを2007年時点で感じていて、僕は絶対伸びるところに賭けようと思っていたので、まあITは伸び続けるでしょうと。
編集部:時代の流れに乗ったわけですね。
古森さん:そうです。それで、当時はガラケーが普及してて、iモード占いとかが全盛期だったんですが、まだまだビジネスチャンスがあるなということで、最終的にはモバイルに張ったという感じです。
ただ、恥ずかしい話、初めはエンジニア志望じゃなかったんですよ。
編集部:そうだったんですか?
古森さん:実は第一希望はIT系の営業で、第二希望がIT系のプロジェクトマネジメントだったんです。でも、色々あってエンジニアで通るっていうね。
編集部:そこは色々あったわけですね。
古森さん:でも、今振り返ると、その時の部長には感謝しかないですね。当時の運命に感謝です。
編集部:今振り返ると、点と点が繋がったと。それで2007年から2014年くらいまで、日本でエンジニアとして働かれたわけですね。
サンフランシスコに来た背景
編集部:そこからサンフランシスコに来たのはどういう経緯だったんですか?
古森さん:僕はもともと学部時代に、ゼミの研究で人口経済学という人口の変動予測をもとにマクロな経済トレンドを見る研究をしてたんですが、日本経済は人口減少もあって今後やばくなるんじゃないかという懸念があって。
それで、「これからも伸び続けるのはどこだろう?」とずっと考えてたんです。
もちろん、日本も引き続きITで伸びていくとは思ったんですが、日本と海外、特にアメリカや中国を比べると、アメリカとか中国の方が当然伸びるよねっていう結論に至って。
編集部:まあ、そもそも人口が違いますもんね。
古森さん:そうそう。それで、ちょうどその頃社内でアメリカの案件があったので、手をあげてやってきたという感じです。
TOEIC 730点で渡米
編集部:ちなみに、渡米したとき英語は大丈夫だったんですか?
古森さん:全然だめでした。恥ずかしい話、渡米したときのTOEICの点数が730点くらいだったんです。
編集部:あ、そうだったんですか!?
古森さん:そう、めちゃくちゃ低いですよね。だからかなり苦労しました。もう最初の1-2週間のミーティングとか地獄でしたよ。何言ってるか1%も分かんないみたいな。
幸いにもエンジニアの業務だとタスクが全て細分化されてるので、まだ良かったんですが、社内のプロダクトマネージャー (PM) になった時は地獄でしたね。もうワケ分かんなかったです。
編集部:PMだとコミュニケーションが大事になってきますもんね。
古森さん:そうそう。英語はもちろん日本にいる時から相当頑張ってたんですけど、あまり伸びなくて。僕は今アメリカに来て4年なんですが、アメリカに来ようと思ったのが約6年前で、その時のTOEICの点数がたしか580点とかだったかな?(笑)
編集部:下手したらそこらへんの大学生よりできないかもしれないっていう…
古森さん:低いかもしれない。それで、毎晩仕事終わりにファミレスに言って、夜中の2時まで勉強してましたね。
編集部:英語の本を読んだり、映画を見たりですか?
古森さん:いや、基本的にシャドーイングですね。
編集部:え、シャドーイングですか?
古森さん:アメリカ行くならシャドーイングだろみたいな。それでTOEICを730点まで伸ばして、運良く社内の話も来て…でも、わかると思うんですけど、TOEIC 730点って全然話せないんですよね。
編集部:むしろ、よくシャドーイングだけで730点まで上がりましたね(笑)
古森さん:だから、来てから全然聞けないし読めないっていうのが発覚して、来てからもやっぱり毎日2-3時間くらいコンスタントに勉強してましたね。あと、よくやったのがビール2杯チャレンジっていう…
編集部:なんですか、それ?
英語力を鍛えるビール2杯チャレンジ
古森さん:こっちだと毎日どこかしらでミートアップとかイベントやってるじゃないですか。だからそういうのに積極的に参加して、大体会場はバーなんですけど、まず着いたらビール1杯を速攻で飲むんですね。そしたら、もう1杯オーダーして、それを持って話して回るんです。
やっぱり、アメリカ人と話せない恐怖心みたいなのってあるじゃないですか。でも結局、アルコールを飲むと喋れる喋れないに関係なく、話しかけやすくなるんですよ。あと、ネイティブとは言え、酔っ払ってしまえばテキトーなので。
編集部:たしかにそれはありますね。
古森さん:これを週に2~3回くらい、1-2年くらい続けましたね。そのせいですごくビールに強くなりました。
編集部:あ、そっちですか(笑)
古森さん:ビール大好きになるし、強くもなるし。もちろん英語もうまくなりますけど。だから、ビール2杯じゃ酔わないという人は別に3杯でも4杯でもいいんですが、ビール2杯チャレンジはかなりオススメです。
編集部:その英会話ハックめっちゃ良いですね!たしかに、実際にアメリカ人とか英語がネイティブの人と話さないと英語力は上がらないって聞きますよね。
古森さん:だから、ビール2杯チャレンジは英語の上達に相当貢献したし、チャレンジしない夜は勉強したので、そういう複合的な要素で英語力を伸ばしましたね。
古森さんがまとめた『英語が喋れるようになるまで(社会人編)』も要チェック!
編集部:なるほど、色々と英語に関しては努力されたわけですね。ちなみに、その後VCで働き始めてますが、これは何があったんですか?
古森さん:色々とあったので、ここでは言えないことも多いんですが、一つあるのはビジネスサイドというか、営業とか外回りがやってみたかったというのはあります。
編集部:人と話すみたいな?
古森さん:そっちの方が近いですね。そんな感じです。
編集部:たしかに就活の時はIT系の営業を志望してたって言ってましたよね。そのあたりは色々とあると思うのでオフレコにしますね。
今後のキャリア観
編集部:では、エンジニア、VCと来て今後のキャリア観についてお伺いできますか?
古森さん:やはり、何をするにしても今いるVCのティアを上げてくことが僕の財産になると思うので、半年とか1年のショートタームでは、投資家とのネットワークや信頼をもっと築いていきたいですね。
ただ、VR/ARだけじゃなくて、ブロックチェーン、AI、eSport、ビデオストリーミング、スマートスピーカーなどもトレンドがきてるので、その辺の情報も広く知れたら良いなと思います。
あとは、以前主催したイベントのように、ちゃんとアメリカ人のオーディエンスを集めて、僕らがVR/ARもしくはその他の産業の中心に居続けられるよう積極的にアクションしていきたいですね。

編集部:そういうブランドを作っていきたいと。
古森さん:そうそう。そうすると、外のファンドから「あのファンド、よく目にするな」ってなると思うんですよ。
やっぱり、どんなに大したことない人でも100人の前で喋ってたら「この人すごい」ってなるじゃないですか。そうなったら大した人じゃなくても名刺が集まるし、いずれはすごい人になっていくんです。
編集部:背伸びして成長するというか、積み重ねですよね。
古森さん:そうですね。そして、3-4年のミッドタームでいうと、やっぱり日本人の僕にしかできないことがあると思うので、そういうのをやっていきたいですね。それが今の仕事の延長にあるのか、転職なのか、はたまた起業するのか、そこら辺はまだわからないですが。
編集部:自分にしかできないことをやっていきたいと。
古森さん:そうすると40歳くらいになるので、40歳以降は完全に社会奉仕になりますけど、日本の若い人たちをシリコンバレーのスタートアップにどんどん放り込んでいくみたいなことをやりたいですね。
僕はアメリカに来たとき英語もできなくて、人脈もなかったので色々と苦労したんですが、僕が40歳になる頃にはもう社会に出て20年になるわけですよ。
でも、初めから答えを知ってればおそらく3年とか5年で十分なので、そういったことを次の人たちに教えていけたらなと思います。
あと、僕の先祖は300年続く富山の農家なんですけど、その次男坊がアメリカに来たので、富山もうまく繋いでいきたいなと思います。いずれにせよ40歳を超えたらそういうことをやりたいですね。
編集部:そこは地元愛ということですね!
メッセージ
編集部:では最後に、海外で挑戦したいと思ってる人に何かメッセージをもらえますか?
古森さん:もし、自分が死ぬ最期の瞬間を想像して「あのときこうしておけばよかった」って思うだろうリストに、「海外で挑戦すること」が入っているのであれば、迷わず海外に行くべきですね。
編集部:死ぬ時から逆算して考えろと。
古森さん:そうです。そして、出来るだけ若いうちに、僕の感覚では30歳より前に行ったほうが良いと思います。
編集部:それはなぜですか?
古森さん:理由は色々あるんですが、1つは家族ですね。1人だったら別に安いシェアハウスに住んで、自分の食費だけまかなえばいいですけど、家族を持つとなるとそういうわけにもいかないので。
そして、そんな中でチャレンジしていくとなると、なかなか難しいのかなと。だから、若ければ若い方がいいと思います。
編集部:たしかに家族を持つと自分だけの人生じゃなくなりますからね。
古森さん:そして、もう一つは体力です。僕の感覚では28歳まではすごくアクセルを踏めるんですよ。でも、歳を取ると徐々に徐々にアクセルが踏めなくなってくるんです。たぶん、35歳とかになると体力的にしんどくなってくるのかなと。
編集部:よく「体力的に…」っていう言葉を耳にするんですが、それって朝起きたら体が動かないとかそういうことですか?
古森さん:例えば、僕はアメリカに来た当初、毎晩2時とか3時まで英語を勉強して、次の日9時に出社するみたいな生活をしてたんですが、そういうことは歳を取るにつれて出来なくなってくるんじゃないかと思うんです。予想ですけど。
編集部:あ、そういうことですね。
古森さん:逆の考え方をすると、海外に行くという選択肢は30歳までに与えられたオプションなので、30歳以降でも日本でできるオプションは後回しにした方がいいのかなと思うんです。
編集部:若いうちにしか取れないオプションを取れと。
古森さん:あと、アメリカと海外というところでいうと、これは以前twitterにも書いたんですが、正直僕はアメリカはあまりオススメしないです。というのも、本人がどれだけ努力しても超えられない壁があるので。
編集部:ビザですか?
古森さん:そうです。結局最後は運だったり、そういうのに委ねられてしまって、せっかく2-3年アメリカにいても投資回収できない恐れがあるので。
だから、僕はヨーロッパとかの方が良いんじゃないかと思うんですよね。ドイツのベルリンはすごくフリーランスに優しいし、オランダは日本のパスポートを持ってる人は今でも優遇されているらしいですし。
100年前の条約はまだ生きていた。オランダ大使館で聞いた日本人が知らない特権|ライフハッカー
編集部:え、そうなんですか?
古森さん:詳しくは忘れちゃったんですが、条約の関係上、そうらしいです。でも、アメリカに関しては…
編集部:厳しいですよね。
古森さん:厳しい。仮に会社がH-1Bビザ (就労ビザ) をスポンサーしてくれるってなっても、そこから抽選だし、トランプ政権以降、明らかにビザに関して厳しくなったので。
編集部:たしかに、グリーンカード (永住権) の抽選プログラムとかSTEM系の学生のOPT延長も廃止するみたいな話もあるようです。
古森さん:だから、どうしてもアメリカじゃなきゃいけないんだ、2-3年投資して回収できないリスクがあってもいいんだっていう強い想いがあるとか、駐在なりで確実に5年いれる保証があるみたいなケースじゃないとなかなかオススメしないですね。
費用対効果が超悪いと思います。そして、どうしてもアメリカにこだわるんだったら、バンクーバーも良いと思いますよ。シアトルも近いし、AmazonとかMicrosoftの拠点もあるので。
編集部:以前取材したメルカリのSFオフィスでAndroidエンジニアをされている牧野直也さん曰く、カナダの場合、エンジニアのようなスキルドワーカーとして1年間働くと永住権がもらえるらしいですね。
古森さん:え、そうなんですか?もう絶対バンクーバーが良いじゃないですか!バンクーバーで働いてたら、アメリカで働いてるのと変わらないですよ。バンクーバーならすぐ飛んでこれるからチャンスもある程度広がると思うし。
編集部:なんだか、古森さんの話を聞いてると、やはり投資家目線で物事を見てるんですね。投資回収できるかとか、オポチュニティコスト (機会損失) を考えたりとか。
古森さん:時間が超重要ですからね。あと、もし機会損失を気にするのであれば、学生で来るのが一番いいですよ。学校を卒業した後にOPTをもらえるので、少なくとも1年間は仕事をしながら滞在できるし、学生生活自体は犠牲にならないので。
編集部:たしかに、僕も今OPTで仕事をしてるんですが、学生にはそれがオススメですね。古森さん、今日は色々と濃い話をありがとうございました!

終わりに
今日はシリコンバレーのベンチャーキャピタル 『GFR Fund』でVR/AR関連のスタートアップを中心に投資活動をしている古森泰さんにインタビューしました!
シリコンバレーという閉ざされた村社会でどうやってプレゼンスを出して行くのか、そしてアクションを起こし続ける重要性についてもお伺いすることができました。
今回はシリコンバレーの話がメインでしたが、個人的にはシリコンバレーだけに限らずどんな場所で何をやって行くにも大事なエッセンスだと思うので、今日お伺いしたことは忘れないよう胸に刻んでおきます。
(文・編集: 中屋敷量貴)
今後の取り組みについては、FacebookページやTwitterでも随時最新ニュースを更新していく予定です。もし興味がある方はこちらもいいねやフォローをしていただけますと幸いです。
メルマガ「SiliconValleyWorkers通信」も始めました。週1回から月1回の頻度で新着情報や求人情報、編集部の気になるトピックなどを発信する予定ですので、興味のある方はぜひ登録してみてください。

