Silicon Valley Workers

シリコンバレーで働く日本人の声を届ける

約束の場所アメリカ。33歳で渡米した脱サラ/カリスマ美容師が語る『わらしべ長者物語』

インタビューViange HairVPサンフランシスコヘアサロン

本日のゲストは、全米で5店舗ヘアサロンを展開する『VIANGE HAIR』のヴァイスプレジデント (VP) 永田明成さんです。

脱サラして美容師に転身した過去を持つ永田さんが、なぜアメリカに渡り、「VIANGE HAIR」を立ち上げることになったのか。その裏に隠された「お客さんとの約束」とは何か?33歳で渡米し、顧客ゼロ・オーナーの逃亡・英語の壁という三重苦を乗り越えた男の『わらしべ長者物語』に迫る!

永田 明成 (Akinari Nagata):
1978年生まれ。高卒でキッチン用品メーカーに入社。20歳の時に脱サラして美容師に転身。東京、名古屋を中心に美容師の経験を積む。お客さんと交わした約束を果たすため、2011年、当時33歳で渡米。2013年に「VIANGE HAIR」を立ち上げる。現在はヴァイスプレジデントとして全米5店舗の運営・管理を行なっている。

多店舗展開のコツは「接点」

編集部:今はどんなことをされてるんですか?

永田さん:サロンの運営から人材の採用、ヘアーカットまで全部ですね。あと、店舗が立ち上がる度にその店舗のオペレーションをチェックしたり、店長を採用したりしてます。

編集部:たしか全米で5店舗あるんでしたっけ?

永田さん:そうですね。ベイエリアに4店舗、あとテキサスのダラスに1店舗あって、1年に1店舗ずつ増えてる感じです。なので、もともとは2013年に3人で始めたお店なんですが、今ではスタッフも30人くらいになりました。

サンフランシスコを中心に全米に5店舗展開する「VIANGE HAIR

編集部:おお、かなり成長してますね!でも、そういう複数店舗の管理って大変じゃないですか?

永田さん:やはり遠隔になればなるほど目を離してる時間が長いのと、僕自身が全店舗で一番売り上げを上げているので、忙しくて時間がないんです。髪を切ってる時間は電話もできないし、テキストもできないので。

だから、このApple Watchがすごく便利なんですよね。メール、テキスト着信の内容がさりげなく確認できて、折り返しの電話や返信の必要があるかの見極めが瞬時にできるので。たぶん、僕ほどApple Watchを重宝してる人もいないと思います(笑)

編集部:たしかに普通の人だとスマホを見る時間があるけど、美容師だと両手がふさがってますもんね。

永田さん:あと返事もオートでできるので。

編集部:じゃあ美容師の方はぜひApple Watchを(笑) 、、、という宣伝はさておき、やはり時間が大事ということですね。

永田さん:そうですね。特にテキサスの場合、時差が二時間あるのでかなり大変なんです。向こうは朝礼が9時半なんですが、その時間だとこっちは朝の7時半なので寝起きで出れないし、夜は僕が21時くらいまで働くので、その時間に電話しようと思うと今度は向こうが23時でもう閉まっているので。

編集部:それどうしてるんですか?

永田さん:最近は向こうの朝礼とか終礼を録音してもらって、それを通勤中に聞いてますね。それを聞いて、僕もコメントを残すみたいな。だから、できるだけ時差があっても接点は持つように心がけてます。

あと、今は「ChatWork」のようなコミュニケーションツールを色々と試してて、その辺のツールも社内でしっかり統一したいなと思ってます。

編集部:じゃあ、色々と試行錯誤しながら距離的なギャップを補っていると。

永田さん:そうですね。ただ、現場のマネージャーたちがすごく責任感を持ってやってくれているので、かなり安心して任せれてます。

編集部:店舗が増えると店舗間での意思統一も大事になって来るのかなと思うのですが、そこに関して気をつけていることなどありますか?

永田さん:意思統一はすごく大事ですね。やはり我々のブランドを作っていかなければいけないので、お客さんにとってどういうサロンであり、美容師であり、会社であるのかというのを常に考えるようにしてます。なので、そこは個々でバラバラにならないよう気をつけてますね。

編集部:ビジョンの共有は大事ですよね。

San Francisco店は、Powell駅やUnion Squareの近くにある
(11 Tillman Place, 3rd Floor, San Francisco, CA 94108)

日本とアメリカ / 異なる美意識

編集部:こっちの人ってあまり髪にお金をかけないというか、特に男性だと安いところで手軽にパッと済ませる印象があるんですが、日米でヘアサロンの市場感に違いってあるんですか?

永田さん:たぶんその感覚は日本から来た日本人の感覚で、僕も最初はそう思ってました。でも実は全然違っていて、短いけどミリ単位でこだわる人も多いし、2-3週間に1回切りに来る人も多いので、それを年間のコストにしたら結構お金はかけてますね。

女性もほとんどの方がカラーしてますし、それにハイライトもするってなると軽く200-300ドルはするんですよね。やっぱり日本で2-3万円かける人ってそんなにいないじゃないですか。だから、これは白人の方だけじゃなくて黒人の方も含めてですが、美容に時間とお金をかけている人は多いと思います。

編集部:じゃあ、日本人とは時間とお金のかけ方が違うと。

永田さん:そうですね。平均的に見たら、日本人の方が美容に時間とお金をかけてるとは思うんですが、アメリカだと、ヘアカット300ドル、カラー500ドルの計800ドルにチップを乗せて1000ドル (10万円) 近く払う人もいるので、そういった三角形の頂点が高いというか、上に飛び出てくる度合いがすごいですね。だから、一概に日本人の美意識が高くてアメリカ人は低いっていうのは違うなって思います。

編集部:そこは人にもよると。ちなみに、こっちだと色んな人種の人がいて、それこそ白人、黒人、アジア系で髪質も違うし、理想とするヘアスタイルも違うと思うんですが、そこはどうやって対応してるんですか?

永田さん:そこはある程度お店単位で得意不得意がありますね。

編集部:このお店はこういう特徴があるとか、こういう人が強いとかですか?

永田さん:そうです。例えば、僕がアメリカに来て最初に入ったお店だと、従業員に黒人も白人もメキシカンもチャイニーズもいたので、かなり幅広く対応できてましたね。

でも、僕がこっちで勝負しようと思ったら、日本人だけを切っていても全然足りないので、できるだけ幅広くやっていこうとは思ってます。

編集部:じゃあ、もうどんな人種のどんな髪質の人でもやっていこうと。

永田さん:ただ、黒人さんの編み込みの技術だけは求められるスキルが違いすぎるので難しいです。しかも僕以外にものすごいスピードで安くできる人がいるので、それを僕が頑張ってやっても、高くお金を取るか、時間をかけて安いお金でやるしかないんですよ。時間がかかるとお客さんも嫌だと思うので、そうなると僕のやるところではないなと。

編集部:そこは得意な人に任せると。

永田さん:白人さんはやるんですが、髪質以前に育った環境とか文化が違うので、日本の髪型とか切り方をやっても当てはまるわけがないんですよね。なので、そこら辺はかなり勉強していて、情報は常にキャッチアップしてます。

編集部:どういうものが流行っていて、どのセレブがどんな髪型なのかとかですよね。

永田さん:そうですね。だから、「アメリカでやる = 日本も含めて世界中の人を相手にできないといけない」っていうのを学びました。

店内はおしゃれな雰囲気で、スタッフはみんなフレンドリー

約束の場所「アメリカ」

編集部:ちなみに、永田さんってどういう経緯で美容師になったんですか?

永田さん:もともとは高卒でキッチン用品やキャビネットを作る会社に入ったんですが、2年半くらいで脱サラして、20歳の時に転職して美容師になったんです。

編集部:え、脱サラ?じゃあ、そこから美容の専門学校に行ったんですか?

永田さん:実は美容室で働いてる人だと通信で資格が取れるんですよ。しかも、年に20日間だけ学校に行って、最終試験さえ合格すれば良いっていう。だから、美容室で働きながら通信で資格を取りました。

もちろん、通信課程だと3年かかるので、専門学校の2年よりも少し時間はかかってしまうんですが、周りよりスタートが遅れている分、働きながら取れる方が良いかなと。

編集部:じゃあ、美容室で腕を磨きながら資格を取ったと。

永田さん:そうですね。なので、初めのお店で5年半くらい働いて、そのあと名古屋とか銀座でも働いて渡米したという感じです。

編集部:そのアメリカを目指したきっかけは何だったんですか?

永田さん:きっかけは日本で最初に働いていた時にお客さんと交わした約束なんです。

編集部:約束ですか?

永田さん:その人は芸術家の方で、内閣府のプログラムに選ばれて、日本を代表して1年間アメリカに行ってた方なんですが、その人が1年後帰って来たら全くの別人みたいになってたんですね。人としての厚みというか自信が増していて。

編集部:オーラが変わっていたと。

永田さん:その時、この人をこんなにも変えたアメリカってすごいなって思ったんです。そしたらその人に「いつかあなたも行きなさい。そして、行くんだったら、絶対に勝負しに行きなさい。」と言われて、僕も「いつか必ず行きます!」って約束したんです。

編集部:なんかドラマみたいですね(笑)

永田さん:きっとアメリカで勝負している人をたくさん見てきたんでしょうね。だから僕は、まず日本でトップを目指して日本のトップとしてアメリカに行こうと決めたんです。それで、日本のトップはどこだってことで名古屋に行ったり東京に行ったりして、ここだというタイミングでアメリカに目を向けたというわけです。

執念で掴み取ったチャンス

編集部:それでアメリカに来たと。

永田さん:当時2011年で、僕が33歳の時です。

編集部:英語は大丈夫だったんですか?

永田さん:チンプンカンプンでした(笑) 必要なのは分かっていたけど、それまでやってこなかったのが英語だったので。そこで、アメリカでトップの日本人美容師のところへ行こうと考え付いたんです。それがアメリカでトップを目指す1番の近道かなって。それでアメリカ全土で検索してみたら、この人かなという人がロサンゼルスにいて、これだと。

編集部:何かがビビッときたわけですね。

永田さん:そこで、4日くらいかけて経歴とか想いとか何ができるかっていうのをブワーって書いて、その長文メールを送ったんです。

編集部:もはやラブレター(笑)

永田さん:そしたら5分後くらいに返信が来て、「若い人を育てるのが今の僕の仕事だと思ってるので、ぜひ来てみて下さい」って。

編集部:おお、すごい!

永田さん:でも、来てみて下さいってなんだろうと思って。旅行で来てみて下さいなのか、就職としてがっつり来て下さいなのか。なんとなく後者ではない気がしたんですが、とりあえず会いに行こうと思って来ちゃったんです(笑)

編集部:まさかの(笑)

永田さん:それで会いに行ったら「本当に来たの?」って言われて(笑)

編集部:向こうも軽い気持ちで来てみなよって言っただけで、本当に来るとは思ってなかったんですね(笑)

永田さん:でも来ちゃったと(笑)

編集部:(笑)

永田さん:でも、来てみて下さいって言った人が帰って下さいとは言えないなと思ったので、とりあえず2週間通いつめて粘り続けたんです。そしたら、最後の方には向こうもちょっと疲れてきた感じで「まだいるのか」って(笑)

編集部:もう完全に漫画とかで見る世界ですね(笑) いいって言うまで帰りませんみたいな(笑)

永田さん:それで最終的に向こうが僕の熱意に押されて、「いいよ」ってことで、一旦帰国してビザを取って戻ってきたという感じです。

編集部:執念でチャンスを掴み取ったと(笑)

結果を出せば認めてくれる社会

永田さん:その人は今の僕よりも色んなところを飛び回ってる人で、一つのところにいないんですよ。でも、他の従業員はみんなアメリカ人だから、英語でコミュニケーション取らないといけないじゃないですか。そこで初めて「いいよ」っていう言葉の意味が分かったんです。やれるもんならやってみろよっていう。

編集部:なるほど、挑戦的な意味だったと。

永田さん:英語ができない奴にアメリカ人のお客さんなんて当然まわしてもらえないわけですよ。日本人のお客さんも来ないし。だから、アメリカに戻ってきて2日間ずっと掃除しかしてなくて、「やばい、アメリカ生活3日で終わるぞ」って焦ってました。

編集部:なんとかしないとやばいと(笑)

永田さん:それで3日目にそのオーナーに電話して、外に営業に出る許可をもらったんです。それで日本人がいると噂の公園に行って、ママさんたちを見つけて、「すみません、銀座から来たばかりでお客さんがいないんですけど、タダで切らせて下さい」って。

編集部:向こうはどんなリアクションだったんですか?変な人来たみたいな?

永田さん:それが、声をかけた人に恵まれていたみたいで、「みなさーん、銀座から来た美容師さんがタダで髪切ってくれるそうよー」って色んな人に声をかけてくれて。

編集部:まさかのインフルエンサー(笑)

永田さん:それで、その人ともう1人来てくれた人を切ってあげたら、「永田さん、これはタダじゃもったいないですよ」って。ちょうどその人がママさん向けにメルマガを流しているような方で、そのメルマガに僕のプロフィールとかが載ったブログの情報と、僕が切ってあげたBefore / Afterの写真と、モデルを探してるみたいな宣伝を流してくれて。

編集部:展開がすごい!

永田さん:そしたら、そっから1ヶ月で50人くらいズラーッと来てくれて。

編集部:え、50人?いきなりゼロから?

永田さん:しかもその中の一人が、ママさん有名ブロガーみたいな人で。

編集部:もはや、わらしべ長者ですね(笑)

永田さん:それでどんどん人が来て。。。それまでサロンで誰よりも暇してて、「何してんだあの日本人」みたいな感じに思われていたのが、いきなり誰よりも忙しくなっちゃって。なんだあいつみたいな(笑)

編集部:あいつ一体何者なんだみたいな(笑)

永田さん:でも、切るスタイルもそれなりにできるようになると、お店のみんなも少しずつ協力的になってきて、英語も教えてくれるようになりましたね。

編集部:やはりアメリカだと実績を残すと周りも認めてくれるようになるんですか?

永田さん:それはありますね。たしか、何人目かのカットで、ショートのAラインのボブをバンって切って返したときに、全員の目が「お!」ってなって、あの瞬間だなっていうのがありましたね。そのあとみんな寄ってきてくれたので。

編集部:「さっきのどうやったんだ!?」みたいな。

永田さん:それまでは、やっぱりアジア人だから、年も下に見られてて、たいした技術もないだろって思われてたんですが。

編集部:そこで腕で見せつけたわけですね。

永田さん:そういう瞬間がありましたね。

僕も永田さんに切ってもらい、かなりスッキリしました!
心なしかイケメンに見えますね!笑 (ちゃいますね!)

まさに間一”髪”?

編集部:永田さんのことを調べてたら、ちょっと前に日本に帰国しますみたいなことを書かれてたんですが、それはどういった経緯だったんですか?

永田さん:渡米して1年後くらいだったと思うんですけど、色々と諸事情があって日本に帰ることになってたんですよ。でも、やっぱり帰りませんでした。

編集部:あ、帰ってないんですね。

永田さん:すごくたくさんのお客さんに帰らないでくださいって言われて。「何の事情があるか知らないんですが、帰らないといけない事情の中で私ができることがあればお手伝いさせて下さい」って言われて。

そこまで言われると思ってなかったので、ちょっと心を打たれて、じゃあ残ろうと思ったんです。だから、その当時のオーナーがサンフランシスコのお店を閉めて、ロサンゼルスに来ないかって誘ってくれた時も「僕は残ります」って。

編集部:どうしても永田さんに残ってて欲しいというファンの方がいたわけですね。じゃあ、場所自体は今のお店と同じで、オーナーだけが変わったと?

永田さん:そうですね。その後、新しいオーナーになったんですが、色々あって4ヶ月くらいでお店を閉めるってなって。かなり絶望的なところを今の社長に救っていただいたという感じです。

編集部:え、どういうことですか?

永田さん:ちょうど今日でお店閉めますっていう日に、たまたまお客さんとして来たのが今の社長だったんです。でも、レセプションに「今日で終わりだから帰って帰って」って追い返されて、それで「どうなってんの?」って僕のところに電話がかかってきて。

編集部:タイミングがすごい(笑)

永田さん:「新しいオーナーになって大変だって聞いてたから、一緒に独立してサロンをやりませんか」っていう話をしに来たのに、クローズするからって追い返されてどうなってんのと。

それで、「クローズになるんだったら、この場所を買い取って一緒に始めればお客さんも残れますよね」っていうことで今の社長ともう一人と僕の三人で急遽お店を買い取って『VIANGE HAIR』をスタートしたという感じです。

編集部:そんな立ち上げ秘話があったとは。

コーディングができる美容師?

編集部:ちなみに、シリコンバレーやサンフランシスコだとお客さんもエンジニアが多いんですか?

永田さん:お客さんにはエンジニア、起業家、大企業の経営者などがいますが、とにかくテック系の人が多いですね。なので、そういう人たちに色んな話を聞いて、よく刺激を受けてます。僕の場合、仕事しながらインタビューできるので(笑)

編集部:たしかに聞きたい放題ですよね(笑)

永田さん:昔、Googleで働いていた方と仲良くなって、Googleのキャンパスに連れていってもらったことがあるんですが、色々と話を聞いて会社の考え方に衝撃を受けたんですよ。

編集部:というと?

永田さん:「20%ルール*」ってあるじゃないですか。20%の時間を本業以外の自分のやりたいことに使って良いっていう。そして、自分で思いついたことは自分で最後までやりきると。でも、日本からきたばかりの僕は「それで失敗したらどうするの?」みたいに考えるわけですよ。

でも、大事なのは「いかに早く失敗するか」なんですよね。要は、どの段階で失敗に気付いて、どう方向転換して、そこから何を学ぶのかが大事だと。日本だと、失敗をしないようにたくさんリサーチしてシミュレーションしてって感じだと思うんですが、その「まずやってみなよ」っていうのがすごいなと思って。

*20%ルールとは、仕事時間の20%は自分の好きなことに使って良いという制度で、こうした制度から東日本大震災での安否確認サイトなどが立ち上がっている。[参考: グーグル「20%ルール」の本質 | 日経ビジネスオンライン]

編集部:まさにシリコンバレー流の考え方に衝撃を受けたわけですね。

永田さん:あと、大きな会社のトップの方もいらっしゃるので、「経営とは何か」みたいな話も聞けて、こんなに色んな話が聞ける仕事もなかなか無いんじゃないかなって思うんですよね(笑)

編集部:たしかに普通だと有料セミナーで聞くような話が、むしろお金をもらいながらできるわけですもんね(笑)

永田さん:僕は美容師だし、会社もあるから、ここでやらなきゃいけないことがたくさんあるんですが、そういった方々の話を聞いてると思いつくこともたくさんあるんですよね。例えば、日本でこんなことやったら売れるんじゃないかとか。

でも、僕が事業をできるわけではないので、せめてアイデアだけは練り続けて、いつか賛同してくれる人が現れたらその人にやってもらったのでも良いのかなと。自分のアイデアが巣立って世の中を変えたというのであれば、僕はそれだけで幸せなので。

編集部:実行の部分はやれる人にやってもらえれば良いと。実際に永田さん自身がアクションしてることはないんですか?

永田さん:実は僕自身コーディングを勉強してて…

編集部:え、まさかのコーディングですか?

永田さん:そうです。

編集部:もうタイトル決まりましたね。「時代はコーディングができる美容師!?」みたいな(笑)

永田さん:(笑)

編集部:ちなみに、なぜコーディングなんですか?

永田さん:もともとはコーディングして何かを作って、「こんなもの作ってみたんだけど」っていう話がしたくて勉強を始めたんです。もしかしたら、すごいエンジニアの人が僕のぎこちないプロダクトを見て、「しょうがないな、貸してみろよ」ってやってくれたりしないかなって。

編集部:今までのようにですね(笑)

永田さん:巡り合わせでなんとかならないかなって(笑)

編集部:ちなみに、コーディングの勉強が本業に活きた経験ってありますか?

永田さん:コーディング自体が活きたことはないですけど、最近アーティストとデザイナーの違いについて教えてもらう機会があって。

編集部:それ気になります。

永田さん:僕の中では一緒だったんですけど、デザイナーさんの仕事っていうのは、クライアントがいて初めて成り立つものなんですよね。でも、アーティストの場合は自分から一方的に発信して、それを欲しいと思った人が買うと。それで、僕はアーティストじゃないんだなと。

編集部:おーなるほど。

永田さん:というのも、ヘアスタイルっていうのは僕一人で作るんじゃなくて、お客さんというクライアントのニーズと、僕の知識やセンスとが融合して初めて出来上がるものなので。だから、僕はデザイナー側なんだなって。そしてそれはプログラミングも一緒なのかなと。

編集部:いくら技術があってもお客さんのニーズがわからないと満足いくものは作れないと。じゃあ、全然関係ない業界のことを学んだことで自分の仕事を客観的に見れたわけですね。

店内の待合スペースには日本の雑誌も所狭しと並んでいる。

今後の展開 / 野望

編集部:今後はどういった展開を考えているんですか?

永田さん:まずは創業10年でアメリカ国内に10店舗お店を出すというのが目標なので、残り6年で5店舗出したいですね。

編集部:じゃあ、今のペースで1年に1店舗ずつ増やしていこうというわけですね。

永田さん:そうですね。あとは今、自社でヘアケアのプロダクトを開発をしているので、それを今年中に売り出したいなと。なので、その二つを同時にやっていく感じです。

編集部:その自社製品の開発にはどういう背景があるんですか?

永田さん:僕としてはヘアケアプロダクトの方が、アメリカの市場というかブランド力としてはすごく可能性が高いんじゃないかなと思っていて、というのも全米にヘアサロンが10店舗あっても、それを知ってる人って限られてると思うので、影響力って少ないと思うんですよね。

でも、それがプロダクトの場合、売れれば売れるだけ多くの人たちに広まっていくので、もしそれが本当に良いものであれば影響力を持てるんじゃないかと思うんです。それで、ある程度アメリカでシェアが取れたら、サロンも含めて日本に逆輸入できるかなと。

編集部:その展開の仕方は面白いですね!ヘアケアというのはシャンプーですか?

永田さん:シャンプー、ワックス、スタイリング剤もですね。基本的には頭皮の健康を考えて、「良い地肌から、良い髪を育てて、良いヘアスタイルが出来上がっていく」というものを開発しています。

編集部:アメリカに限らず、5店舗とかの規模で自社プロダクトを開発してるサロンってあるんですか?

永田さん:あまりないと思います。

編集部:じゃあ、それは今のタイミングでプロダクトを作った方が結果的により多くの人にリーチできるし、ビジョンを実現できるんじゃないかということですか?

永田さん:そうですね。いきなりパーフェクトな商品が完成するとは思ってないので、まずはうちのブランドには商品があるという認知を広げて、それが店舗展開とともにちょっとずつ成長していけば良いんじゃないかなと思ってます。

編集部:じゃあまずは小さく始めると。

永田さん:そうですね。あと、これは個人的な野望なんですが、僕は美容師だからこそ売れるものを作りたいと思っていて、例えば、プロフェッショナルな美容師が、医者が患者を診るように処方できるシャンプーだとか。ただ、それはまだ構想段階なので、プロダクトができたらお披露目させてもらいますね。

編集部:なんだかすごく気になりますが、その時はぜひお願いします!

メッセージ

編集部:では最後に、何かに挑戦したいと思っている人にメッセージをもらえませんか。

永田さん:やはり自分で踏み出せない時ってあると思うので、そういう時は自分を客観視するように一歩下がって、「お前行けよ」って自分で自分の背中を蹴るのが良いのかなと思います。それで一歩踏み出してみたら何とかなったっていうのが僕の経験なので。

編集部:他人ではなく自分で自分を蹴ると。

永田さん:だから、やりたいことや行きたい場所があるならとりあえず行ってみる。すると、その行った先はゴールじゃなくて、ただのスタートラインだったって分かるので。これはアメリカに来た人の多くが感じてると思うんですが、アメリカに来ることを目標に頑張ってると、いざアメリカに立つと何もないってことに気付くんですよね。

編集部:まさに大学受験や就職でも同じことが言えますよね。

永田さん:だから背中をドンって蹴ってもその先にはただのスタートラインしかないので、まずは行ってみなきゃ分かんないじゃんっていうのが僕の持論です。

編集部:まずは一歩踏み出して、そこで新たな世界を見て、新たな目標を作っていくと。新しい環境に入ったばかりの人にはとても刺激になるメッセージだと思います!永田さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!

まとめ

本日は、全米で5店舗ヘアサロンを運営する『VIANGE HAIR』のヴァイスプレジデント (VP) 永田明成さんにインタビューしました。

脱サラして美容師になり、33歳で渡米したという永田さんの言葉からは、なんだか勇気がもらえました。また、全ての出会いに意味があるんだろうなと思いました。僕も永田さんのように後で振り返った時に笑えるよう、Giveの精神を忘れず、自分の芯を貫いて行きたいと思います!

VIANGE HAIRでの採用に興味のある方は、VIANGE HAIR 公式HP (日本語) もしくは、こちらのEmailアドレス (sf@viangehair.com) より問い合わせてみて下さい!

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(書き起こし協力: 藤本沙織 / 編集: 中屋敷量貴)